昨年、新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の影響で情報通信(IT)製品など高付加価値製品の輸出が増え、航空輸送の割合が過去最多を記録した。
韓国貿易協会国際貿易通商研究院(IIT)が17日に発表した「2020年航空・海上輸出物流動向と示唆点」によると、昨年の総輸出5130億ドル(現レートで約56兆円)のうち、航空輸送が輸出全体の36%にあたる1830億ドルを占めた。海上輸送輸出の割合は64%(3300億ドル)となった。2019年と比べて航空の割合は5%増加し、海上の割合はその分減少した。
航空貨物の輸出が増加した理由はIT製品や医薬品のように、軽量で付加価値が高い製品の輸出が増加したためだ。半導体、次世代大容量記憶装置(SSD)、有機発光ダイオード(OLED)が代表的だ。昨年、医薬品とコンピューターの航空輸出は前年比80%近く急増しており、ディスプレイ(22%)と半導体(16%)も増加した。
一方、海上輸送は運賃の急騰、港湾滞積、コンテナ不足などの問題を抱え、重化学製品を中心に急減した。特に海上輸送の割合が100%に近い石油製品、鉄鋼・自動車などの海上輸送輸出が振るわなかった。ディスプレイの場合、2019年には海上輸送輸出額が航空輸送よりも64億ドル多かったが、昨年は11億ドルに格差が縮小した。
主要国の景気回復により、ことしは国際貿易が活発になると見られる中、輸出企業の物流問題は当分続く見込みだ。取扱量の増加、ワクチン輸送の増加、原油価格の上昇などで航空・海上運賃がいずれも上がり、物流滞積現象が続くものと予想されるためだ。最近、国際貿易通商研究院が韓国の輸出企業を対象に調査した結果、企業の半数近くが物流コストと原材料価格の上昇を最大の課題として挙げた。
カン・ソンウンIIT研究員は「輸出企業が直面する問題を解消するためには、過度の運賃引き上げが抑制されなければならない」とし、「船積可能な空間を増やし、適切な時期の輸送を可能にする各種支援策が必要」と述べた。貿易協会は、このように輸出企業の問題が拡大すると、先月まで一時的に運営予定だった輸出入物流対応センターの運営期間を6月まで延長するなど、各種サービスを支援している。
◆運賃条件変更で物流費削減が可能
最近、オンラインで行われた物流費削減案説明会では、インコタームズ(Incoterms)の条件への関心が高かった。インコタームズとは、貿易取引の際に輸出者と輸入者間の義務・コストに関する国際規則だ。インコタームズの条件によって輸出入企業間の物品輸送義務と費用が変わる。最近、物流コストの急増で苦境を迎えている企業の大半が、輸出する際の運賃が含まれない本船渡し条件(FOB)で契約する場合が多いためだ。
ヨンウォンNCSコンサルティングのチョン・イルファン代表は「物流費が上がる時期は代金の支払いスケジュールを輸出企業の出荷スケジュールに合わせて調整できる運賃込み条件(CFR)に変えるのが有利」と紹介した。イ・ジュンボン貿易協会物流サービス室長は「新型コロナの余波で輸出貨物が前例のない急騰を見せ、企業は耐えきれない限界点に達しつつある」とし、「運賃条件の変更だけで物流費を減らすことができるため、これを積極的に活用すべきだ」と述べた。