韓銀「急速に増える家計負債…各種支援で実際のリスク見えないおそれ」


25日午前10時、ソウル中区・韓国銀行で金融安定状況説明会が開かれた。写真左からイ・ミンギュ安定総括チーム長、ミン・ジャホン金融安定局長、パク・グド安定解析チーム長の様子。[写真 韓国銀行]
25日午前10時、ソウル中区・韓国銀行で金融安定状況説明会が開かれた。写真左からイ・ミンギュ安定総括チーム長、ミン・ジャホン金融安定局長、パク・グド安定解析チーム長の様子。[写真 韓国銀行]

急速に増える家計と企業の負債に韓国銀行が懸念の声をあげた。負債の規模が経済生産能力より大きくなり、金融の不均衡が拡大する可能性のためだ。融資を受けた資金が資産市場に流れ込み、価格を引き上げているという指摘も出ている。更に経済が部門と階層間で不均等に回復する「K字型回復」が進む場合、金融の安定が脅かされるおそれがあるという予想もあった。

韓国銀行は25日、金融通貨委員会定期会議を開き、最近の金融状況を点検した。全体的な金融の安定を示す指標「金融安定指数」は、新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)感染拡大が本格化した昨年4月に危機段階の23.9まで急上昇した後、昨年10月以降は注意段階のしきい値の8を行き来している。

ミン・ジャホン韓国銀行の金融安定局長は「金融市場が新型コロナショックから抜け出しており、金融機関の損失吸収能力も健全な水準を維持するなど、韓国の金融システムは概して安定した姿を見せている」とし、「延滞率が低水準を維持しており、家計と企業負債の健全性は概ね良好な姿」と診断した。

問題は、家計の負債が増える速度だ。家計が、収入に対する負債の規模が急速に増加している。家計負債は昨年末に1726兆1000億ウォン(約166兆508億円)を記録し、1年前に比べて7.9%増加した。分期別増加幅も4.6%(20年1-3月期)→5.2%(20年4-6月期)→7%(20年7-9月期)→7.9%(20年10-12月期)と徐々に拡大した。

企業の負債も高い増加傾向を示した。金融機関の企業融資は、昨年末1359兆4000億ウォンを記録した。新型コロナ関連資金の需要と政府と金融機関の金融支援が続き、増加幅は9.1%(19年末)→15.3%(20年末)に大きく拡大した。

このように借金が増える速度が早まり、実物経済条件より家計負債の規模が過度になる可能性も高まった。稼いで返済するお金よりも更に多くの負債が蓄積した場合、金融不均衡が深まるにつれ、経済に負担が増える。実際に昨年末に処分可能所得に対する家計負債比率は175.5%(推定値)を記録した。1年前に比べて実に13.2%も上昇した。

しかし、様々な指標に錯視効果がある可能性があると憂慮する。指標上に見える家計と企業の金融健全性が、実際の信用リスクを反映していないということだ。自営業者と中小企業の融資が大幅に増え、売上が振るわず、融資の不良債権化のおそれがあるが、家計貸出延滞率などは良好な水準を示しているためだ。

実際、昨年末基準の家計貸出延滞率は、銀行部門(0.26%→0.2%)と非銀行部門(1.7%→1.45%)のいずれも1年前に比べて低下した。しかし、自営業の前年同期比の融資増加率は、昨年第1四半期の10%から10-12月期17.3%と続い増加した。同期間、前年同期比の売上高増加率は-5.5%から-4.6%に、依然として減少傾向を見せた。

ミン局長は「金融機関の支援により、(家計と企業の)信用リスクがそのまま表出できずにいるのではないかと疑われる状況」とし「金融支援が恒久的に持続することができないため、(指標と実際の信用リスク間の)乖離を重要視しなければならない」と指摘した。

特に最近増加した負債が資産市場に流れ込んでいるのも懸念される点だ。不動産や株式市場などに現金が動き、資産バブルが生じる可能性も高まっている。

実際、先月の家計の住宅ローン残高は、733兆3000億ウォンで、前月より6兆4000億ウォン増えた。増加幅は1月(5兆ウォン)より1兆4000億ウォン増加した。住宅の価格も依然として上がっている。韓国不動産院によると、先月住宅販売価格の前月比変動率は0.89%を記録し、1年前(0.34%)より0.55%上昇した。

これと共に新型コロナの余波による不平等の拡大も家計の信用を脅かす要素と指摘された。景気回復が部門と階層別に回復速度が二極化する「K字型回復」が生じた場合だ。新型コロナ感染拡大による政府の脆弱階層支援策が終了した場合、低所得層が借金を返済できず、金融安定性全体を阻害しかねないというものだ。

ミン局長は「政府の支援措置などが終了する時点で脆弱部門を中心に信用リスクが顕在化する可能性がある」とし、「リスク管理を強化していく必要がある」と強調した。



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