サムスン電子、工場増設・M&A…最大規模の投資か


サムスン合併
サムスン合併

サムスン電子が近いうちに70兆-140兆ウォンのぼる最大規模の投資計画を公開するという見方が出ている。5月に予定された韓米首脳会談に合わせて、サムスン電子が米国内半導体投資を決定するという見方と同時に、車載用半導体企業のM&A(企業の合併・買収)説まで出ている。

財界と海外メディアによると、サムスン電子は上半期中に米国と韓国に70兆ウォン(約6兆8200億円)規模の大規模投資計画を公開する可能性が高い。今月12日にオンラインで開かれたホワイトハウス会議をきっかけに進められている米国投資計画と京畿道平沢(キョンギド・ピョンテク)キャンパス第2工場(P3)新規投資計画が5月と6月に次々と確定すると予想されている。このほかサムスン電子はオランダ車載用半導体企業NXP買収を検討中という。NXPの時価総額は50兆ウォン台。

◆ホワイトハウスの要求で20兆ウォン投資が確定か

米国への投資はバイデン米大統領がホワイトハウス会議で強調した「米国内投資」に対するサムスン電子の「返答」だ。ライバル企業のインテルとTSMCは会議直後に大規模な投資を相次いで公開した状態だ。サムスン電子は昨年から米国に170億ドル(約20兆ウォン)の第2ファウンドリー(半導体委託生産)工場建設計画を検討中だった。最も有力な候補地は第1工場がある米テキサス州オースティン市。

サムスン電子は今後20年間・8億547万ドルのインセンティブについてテキサス州政府と交渉している。ニューヨーク州政府は税金減免、雇用補助金など9億ドル規模のインセンティブを提案した。これはニューヨーク州史上最大規模だ。

米現地メディアはサムスン電子が早ければ今年上半期中に、遅くとも夏までには米国投資計画を確定すると予想している。しかし財界は来月の文在寅(ムン・ジェイン)大統領とバイデン大統領の韓米首脳会談に合わせてサムスン電子の投資が決定する可能性が高いとみている。

◆韓国平沢工場は50兆ウォン規模

韓国国内では最大50兆ウォン規模の京畿道平沢P3投資を上半期に発表するという見方が出ている。P3ラインは昨年建設許可を受け、現在、地下掘削が完了し、上部骨組工事が進行中だ。年内にP3外観工事が終われば、来年から装備が搬入され、試験稼働を経て2023年から量産可能となる。P3建設現場は李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長が新年最初の日程で訪問したところだ。年初にP3ライン着工式と投資発表を計画していたが、李副会長が逮捕、収監され、日程が延期されたという。

車載用半導体企業買収の可能性も提起される。米ウォール街の情報を専門的に扱う経済週刊誌バロンズはJPモルガンの報告書を引用し、「サムスン電子がオランダのNXP買収に関心を見せている」とし「妥当な(make sense)選択になるだろう」と報じた。

◆NXP買収なら60兆-70兆ウォン規模

こうしたM&A説は1月のカンファレンスコール後に急浮上した。当時、サムスン電子の崔輪鎬(チェ・ユンホ)経営支援室社長(CFO)は「3年以内に意味のある買収・合併を戦略的に推進する」と述べた。業界では供給不足が最近深刻な車載用半導体企業がサムスンのM&A対象とみている。

NXPはサムスン電子のM&A対象に何度か言及されている。2018年にクアルコムが440億ドル規模で買収しようとして実現しなかった当時も「NXPがサムスン電子に交渉の意思を打診した」という海外の報道があった。

NXPは車両用アプリケーションプロセッサ(AP)とインフォテイメント分野に強みを持つ。業界は、サムスン電子は車両用AP「エクシノスオート」を生産し、2017年に電装企業ハーマンを買収しただけに、NXPとシナジー効果を出す要素が多いと予想する。またNXPが米テキサス州とアリゾナ州に生産工場を保有し、米国政府の「投資要請」への応答にもなる。

買収価格は60兆-70兆ウォン規模と予想される。買収価格は時価総額(約50兆ウォン)より通常10-15%高く形成される。買収が実現すればサムスン電子のM&A史上最大規模となる。これまでは2017年に80億ドルを投入してハーマンを買収したのが最大規模だ。

◆現金性資産120兆ウォン…「実弾は十分」

サムスン電子の「実弾」は十分だ。2020年の事業報告書によると、サムスン電子が短期間(1年)内に現金化できる資産は約120兆ウォン。現金および現金性資産(29兆ウォン)と短期金融商品(92兆ウォン)を合わせた金額だ。

これについてソウル大経営学科の李京黙(イ・ギョンムク)教授は「こうした大規模な投資決定をするうえで『総帥不在』が難関になるかもしれない」と懸念を表した。李教授は「米国内ファウンドリー工場増設、平沢P3ライン投資のようにすでに予定されていたものも総帥の不在で意思決定が遅れている。特に大規模なM&Aは条件交渉などで速度を出しにくいはず」と話した。



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