韓国のバッテリー
文在寅(ムン・ジェイン)大統領のスペイン国賓訪問を契機に韓国バッテリー事業の現地進出議論が本軌道に上がった。先月の韓米首脳会談の際に米国の宿願が半導体投資拡大だったとすれば、自動車産業の成長を狙うスペインが望むのはバッテリー投資だ。文大統領とともにマドリードを訪問した韓国企業関係者は16日、スペイン商工会議所で「韓国・スペイングリーンデジタルビジネスフォーラム」を開き関連内容を議論した。
スペインのサンチェス首相とともにこのフォーラムに参加した文大統領は、「スペインは再生可能エネルギーの割合が40%に近い親環境エネルギー先進国。最高の電気自動車と水素自動車、バッテリー技術力を持っている韓国が次世代モビリティ分野でもスペインと新たな成功モデルを作れるよう期待する」と話した。
今回の文大統領のスペイン訪問には韓国スペイン経済協力委員長を務める斗山インフラコアの朴容晩(パク・ヨンマン)会長をはじめ、LGエネルギーソリューションの金鍾現(キム・ジョンヒョン)代表、GSエネルギーの許榕秀(ホ・ヨンス)代表、サムスンエンジニアリングの崔成安(チェ・ソンアン)代表、ハンファソリューションのキム・ヒチョルQセルズ部門代表らが同行した。彼らは前日に国王主催の夕食会にも参加した。
◇スペインはバッテリー100%輸入国
スペインにはフォルクスワーゲン、フォード、ルノー、プジョー・シトロエンなど8社の自動車メーカーの工場15カ所が稼動している。欧州ではドイツに続く2位の自動車製造国だ。自動車産業がスペインの国内総生産(GDP)に寄与する割合は2019年基準で8.5%を占める。スペインの自動車工場は電気自動車用バッテリーを100%輸入に依存していると点がリスク要因に挙げられる。
大韓貿易投資振興公社(KOTRA)マドリード貿易館のイ・ソンハク氏は、「観光・サービス業の依存度が高いスペインで自動車は製造業のうち最高に頭角を表わす産業。自動車工場があるスペインの自治体が先を争ってバッテリー工場誘致に乗り出しており、その競争が激しくなるだろう」と予想した。
◇LG「スペインのリチウム鉱山は魅力的」
このため中国市場を除いた世界の電気自動車バッテリー市場で1位のLGエネルギーソリューション代表が今回の訪問団に合流したことをめぐり、「スペインへの手土産」が出てくるだろうという予想が業界で出ていた。LGエネルギーソリューションの金代表はこの日のフォーラムで「スペインはリチウム鉱山を保有しており、主要自動車工場も多く電気自動車をはじめとする親環境エネルギー市場として大きな魅力がある所」としながら投資の可能性を示した。その上で「スペインが持つ優秀な長所、そしてLGエネルギーソリューションが持つ世界最高の技術力と豊富な事業経験が合わさればどんな協力モデルよりもさらに立派な成功事例が作られるだろう」と付け加えた。
スペイン政府も今年3億ユーロの予算を編成し無公害車両、電気自動車バッテリー、電気充電施設事業に支援することにした状態のため、LGエネルギーなど韓国企業は現地進出の予想損益を検討している。関連分野で開発プロジェクトをスペイン政府に提案し予算支援を受ける方式だ。
◇朴容晩会長「企業関係者は大統領に同行しセールスすべき」
米国に続きスペインでも企業関係者を伴った大統領の外交活動が続き、韓国政府と経営界ではいわゆる「ばらまき外交」という一部の批判を意識する雰囲気だ。朴容晩会長はフェイスブックに「欧州のように観光・天然資源が多くなく、米中のように内需市場が強固でもない韓国の大統領は使節団とともにチームでセールスに全力を尽くさなければならない仕方のない境遇。このように大変な思いをしているのに、無駄に企業家を連れて行っているかのようにさげすまれると心が苦しい。過去の政権すべてで同じ皮肉を聞いた」と書き込んだ。