増設作業が行われている中韓石化の武漢分公司の現場。[写真 SK総合化学]
新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の発生地として知らされた中国湖北省武漢と韓国で固く閉じられていた扉が徐々に開きつつある。まだオンライン中心ではあるが、一対一相談行事が開かれ、韓中合作製油工場の全面稼働も控えている。
23~25日、武漢では「韓・湖北未来協力プラザ」が開催される。湖北省政府と大韓貿易投資振興公社(KOTRA))が共同で開催する今回の行事は、バイヤーの一対一相談行事とともに、セミナー、や会貢献活動が予定されている。相談会には湖北省が重点育成している情報通信(IT)・医療・自動車・環境など4大分野の中国企業40社と韓国企業15社が参加する。中国内陸バイヤーとの交流機会を提供するために、武漢だけでなく河南省鄭州や湖南省長沙地域のバイヤーも参加する。
湖北省社会科学院とKOTRAは共同でセミナーを開いて韓国と湖北省間の協力案について話し合う。中国内陸市場に進出した韓国企業4社は武漢の一部地域に寄付金を届け、マスクなど物品を寄贈する社会貢献活動もする。KOTRAのソン・スドゥク経済通商協力本部長は「中国政府が内需中心の双循環政策を推進し、武漢など内陸地域で新たな機会が開かれている」と話した。
SK総合化学(SKイノベーション子会社)と中国最大の石油化学企業シノペック(Sinopec)が合作して設立した中韓石化の武漢分公司(製油工場)も下半期の全面稼働を準備している。21日SKイノベーションによると、中韓石化は2017年以降、7400億ウォン(約722億円)を投じて工場増設を進めてきた。エチレン設備の増設とポリプロピレン・ブタジエン設備の新設をすでに完了していて、ポリエチレン設備の増設を今月末まで終えた後、下半期から100%工場稼働に入る。
工場の増設でエチレン110万トン、ポリエチレン90万トン、ポリプロピレン70万トン、ブタジエン19万トンなど、年産300万トン規模の石油化学生産能力を備えることになる。従来(220万トン)に比べて40%増となった。SK総合化学のナ・ギョンス社長は「新型コロナで環境は厳しいが、今回の設備増設を終えて、今後も韓中産業協力モデルを持続して発掘する計画」と話した。
武漢を省都に置く湖北省は、昨年新型コロナによって総生産(GDP)が前年比5%減少した。最近5年間の平均成長率が8%である点を勘案すれば実質的には13%ポイント急減したことになる。だが今年はV字反騰を狙っている。今年3月に開かれた湖北省両会で成長率目標を10%以上に設定した。特に今年は省次元で計4274件・1億人民元(約17億円)以上の新規事業を支援する。電力貯蔵システム(ESS)や高速鉄道の建設など、超大型社会間接資本(SOC)関連事業にもはずみがつくものとみられている。KOTRAのパク・ウンギュン武漢貿易館長は「湖北省を中心に中国中西部内陸でIT・環境・エネルギーなどの分野が大きく成長するだろう」と見通した。
湖北省武漢は常住人口1100万人・流動人口1400万人で、中国6大都市の一つだ。9省をつなぐ交通の要衝で、中国内陸産業の拠点となる都市だ。昨年1月23日~4月8日、新型コロナによって77日間都市封鎖(ロックダウン)が実施された。武漢だけで5万人以上が陽性判定を受け、4000人近い死亡者が発生した。