洪楠基経済副首相兼企画財政部長官(右から3人目)が29日に国会議員会館で開かれた第2次追加補正予算案政府与党協議に参加し発言している。オ・ジョンテク記者
企画財政部は29日、第2次追加補正予算を編成しながら、国債を発行せず増えた税収を活用すると説明した。企画財政部の説明通りならば今回の追加補正予算で国の借金は増えないが、減るものでもない。雪だるま式に増えた国の借金をそのままにして「財政主導成長」をそのまま押し進めるという意味だ。
専門家の間では国の借金が増加する速度が急激な点を懸念する声が出ている。企画財政部によると、2016年に626兆9000億ウォンだった国の債務は昨年846兆9000億ウォンに増加した。文在寅(ムン・ジェイン)政権発足後に35.1%増えた。14兆9000億ウォン規模となった3月の第1次追加補正予算を反映すると年末までに国の債務は965兆9000億ウォンに達する見通しだ。韓国租税財政研究院長を務めた仁川(インチョン)大学経済学科のオク・ドンソク教授は、「下半期の経済環境によって第3次追加補正予算を編成すれば、『国の債務1000兆ウォン時代』が前倒しされかねない」と話した。
韓国政府がようやく作り上げた財政準則が「空手形」になりかねないという懸念の声もある。財政準則は過度な財政赤字を防ぐための安全装置だ。企画財政部は昨年10月に韓国型財政準則をまとめると明らかにした。2025年から国の債務比率を国内総生産(GDP)の60%以内にする内容だ。政府総収入から総支出を差し引いた統合財政収支の赤字は3%以内で管理する。
国会予算政策処は2月に2025年の国の債務比率が61.7%を記録すると予想した。昨年の第3次追加補正予算まで計算に入れた数値だ。今年の追加補正予算まで含めた国の債務比率はさらに高くなる恐れがある。与党「共に民主党」は追加補正予算編成が容易にできるよう財政準則の修正を検討中だ。漢城(ハンソン)大学経済学科のキム・サンボン教授は「国の債務比率基準を高めたり例外条項を置く形ならばまだ施行すらしていない財政準則が無力化しかねない」と指摘した。
新型コロナウイルスのような災害状況では積極的に財政を運用すべきという論理を展開する専門家もいる。こうした専門家らは国の負債比率が依然として主要先進国より低いという点を挙げる。したがって政府が積極的に介入する「劇薬処方」が必要と主張する。経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の国の債務比率は109.2%だ。日本は200%以上で、フランスが123%、英国が112%、米国が107%など100%を超える。
ペ・ギュシク元韓国労働研究院長は「新型コロナウイルスに対応したGDP比の追加財政支出規模を分析した結果、昨年4回の追加補正予算まで編成した韓国は3.4%だった。米国の16.7%、日本の15.6%、ドイツの11.03%、フランスの7.7%、中国の4.7%と比較して低かった」と説明した。その上で「新型コロナウイルスの余波が続く状況で短期的に果敢な財政投入は避けられない」と主張した。
漢陽(ハニャン)大学経済金融学部のチョン・ヨンジュン教授は「類例がない少子高齢化により雪だるま式に増える福祉支出を考慮して財政を保守的に運営しなければならない」と話した。オク教授は「(韓国は)米国・日本や欧州連合(EU)のような基軸通貨国ではない。拡張財政が必要ならば増税案もともに議論しなければならない」と主張した。