1億ウォン台の輸入ブランド電気自動車。左からテスラ「モデルX」、ジャガー「I-PACE」、メルセデス・ベンツ「EQC」、ポルシェ「タイカン4S」。[写真 各社]
中堅企業に通う会社員のキムさん(42)は、年初にフォルクスワーゲンの「ジェッタ」を買った。10年前に620万ウォンで買った「アバンテXD」の中古車を処分して買った、生まれて初めての輸入車だった。国産準中型中古車から新型輸入車にジャンプアップしたが、費用負担は大きくなかった。最低限必要なオプションだけ付けた価格は2490万ウォンで国産中型「ソナタ」の新車価格の2547万~3645万ウォンより安かったためだ。キムさんは価格と燃費とも満足している。キムさんのような40代が輸入車市場に進入し、上半期の輸入車販売は過去最高を記録した。年末までに輸入車30万台時代が現実化するものとみられる。
韓国輸入自動車協会(KAIDA)が6日に明らかにしたところによると、上半期に売れた輸入車は14万7757台に達する。それまでの最高だった2018年上半期の14万109台より5%増えた。下半期に新車が多く売れるという点を考慮すれば輸入車30万台時代は時間の問題だ。その上KAIDAの集計には会員企業ではないテスラの販売台数は含まれない。カーイズユー・データ研究所によると、上半期にテスラの登録台数は1万1629台で前年同期より64%増加した。テスラは年末までに最大2万5000台を売ると予想する。これに伴い、韓国市場で輸入車の割合も1~5月基準で過去最高となる20%を記録中だ。
輸入車の販売増加に対し業界ではさまざまな要因が重なったとみている。ハイ投資証券リサーチセンター長のコ・テボン氏は、「この2~3年間で不動産、株式、仮想通貨などの資産価値が上がり使えるお金が多くなった『資産効果』が最も大きい要因」と話した。彼はまた、「低金利によってオートリースも以前より条件が良くなった」とした。コ氏は「輸入車に対する拒否感が少なくなった点、グレンジャーやジェネシスなど国産高級ブランドの価格上昇で輸入車価格が相対的にあまり高く感じられない点も挙げられる」と付け加えた。
実際に輸入車市場ではメルセデス・ベンツやポルシェのような高級車種の場合「在庫がなくて売れないほど」という話が出ている。業界関係者は「ベンツは事前販売で今年の韓国での販売分がすでに完売同然で、ポルシェは来年2月まで売れる在庫がないものと承知している。特に1億ウォンを超えるハイエンドモデルがよく売れる現象が続いている」と話した。カーイズユー・データ研究所によると、上半期に最も多く売れたモデルはメルセデス・ベンツ「Eシリーズ」の1万4733台、BMW「5シリーズ」の1万991台、テスラ「モデル3」の6275台などだった。
最近の輸入車人気を40代以上の年齢層が牽引しているのも特異な点だ。KAIDAによると、今年の輸入車購入者のうち20~30代の割合は22.3%で、5年前の2016年の29.6%より7.3ポイント低くなった。これに対し同じ期間に40代は1.9ポイント、50~60代は4.1ポイント増えた。大徳(テドク)大学自動車学科のイ・ホグン教授は「5年前には20~30代が分割払いやリースを通じて輸入車を大挙購入した。このため『カープア』という言葉も出てきた。だが最近では実際の資産がある人々が高価な高級車・大型車を買う傾向が増えた」と話した。
現代自動車と起亜を除いた韓国GM、ルノーサムスン、双竜自動車の外資系3社の販売不振も見逃せない。業界関係者は「双竜自動車が主導したピックアップトラック市場でシボレーやジープなどがシェアを増やすのが端的な例」と話した。実際にメルセデス・ベンツ、BMW、アウディのドイツ3社の上半期の販売台数は8万9229台で、外資系3社の販売台数8万8625台を上回った。