忠清北道清州のLGエナジーソリューション梧倉第2工場で8日に開催された「K-バッテリー、世界をチャージ(charge)する」行事の試験研究センター着工式。左から5人目が文在寅(ムン・ジェイン)大統領。 [青瓦台写真記者団]
二次電池を半導体のような新しい成長産業に育成するための政府の最初の総合対策が出てきた。
韓国政府は8日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が出席した中、LGエナジーソリューション梧倉(オチャン)第2工場で「Kバッテリー発展戦略」を発表した。文大統領は「世界バッテリー市場で独歩的1位国家に進むために今から官民の力量を集中して対応を始める必要がある」と述べた。
今回の対策は大規模な研究・開発(R&D)を通じた次世代技術の確保に集中した。2030年までの民間投資金額が計40兆6000億ウォン(約3兆8870億円)だが、うち半分の20兆1000億ウォンをR&D投資に集中するほど比率が大きい。政府は二次電池市場の「ゲームチェンジャー」と呼ばれる全固体電池を2027年に、リチウム・硫黄電池とリチウム金属電池はそれぞれ2025年と2028年に市場に出す方針だ。「次世代バッテリーパーク」を構築し、核心素材・部品・装備要素の技術確保も同時に推進する。
また、二次電池の核心技術に対して半導体のように税制支援をする。R&Dは最大40-50%、設備投資は最大20%まで税額控除が可能だ。
サプライチェーン確保とインフラおよび生態系構築にも取り組む。二次電池は全体価格のうち素材・部品が70%を占めるほど比率が高いが、ほとんどの原材料が海外にある。まず政府は資金支援などで民間の海外資源開発を支援する。また、コバルトの備蓄量も従来の2、3倍に増やす。バッテリーをリサイクルして原材料を確保する案も推進する。
全国4圏域に廃バッテリー拠点回収センターを構築し、運送保管基準も今年末までに環境部が用意する予定だ。修士・博士級など毎年1100人以上の専門人材も輩出する。国内バッテリー3社もこの日、R&D投資を強化するという計画を発表した。国内で次世代バッテリー技術を研究し、これを基礎に世界でバッテリーを生産するという戦略だ。LGエナジーソリューションとLG化学は10年間に15兆ウォンを投資する。2023年の竣工を目標に約400人が次世代バッテリーを研究するLGバッテリー技術研究所も梧倉第2工場に建設する。世界バッテリー企業のうち専門教育機関を新設するのは初めてだと、LG側は伝えた。
SKイノベーションとサムスンSDIも次世代バッテリー開発などに関する戦略を発表した。この日は細部計画を公開しなかったが、競争が激しいだけに相当な金額を投資すると予想される。これに先立ちSKイノベーションは2030年までにバッテリーのR&Dに3兆ウォンを投資すると明らかにした。サムスンSDIは次世代バッテリーの一つ、全固体電池の開発に最も積極的だ。2027年の商用化を目標に掲げた。
ひとまず政府が初めて二次電池産業総合発展計画を出したという点では前向きな評価だ。ただ、対策の大半が民間事業を総合したレベルにとどまり、新しい内容はないという指摘もある。漢城大経済学科のキム・サンボン教授は「米国が二次電池の自国投資を事実上強制している状況で、奪われる投資と人材をどうすれば国内に誘致できるかの答えを出すのが政府がすべき仕事」と指摘した。
二次電池の原材料確保などサプライチェーン安定対策が従来の政府の政策と衝突するという批判もある。政府は最近、事業性を理由に李明博(イ・ミョンバク)政権当時に確保した海外鉱山の売却を推進している。二次電池の核心素材があるところだ。仁荷大のカン・チョング招聘教授は「資源開発は20年以上の長期投資であるため近視眼的な基準で事業性を評価してはいけない」とし「政治論理に振り回されず、今からでも海外資源開発に積極的に取り組むべき」と述べた。