韓国が置かれた国際的環境を韓国人専門家がようやく正しく認識して方向修正を文在寅に訴える

ニア財団理事長、韓中国交正常化29周年に合わせて著書を出版

「来年選出される(韓国の)新大統領は、習近平主席と会い、中国が韓国の主権と基本的価値を侵犯しないように『対中国レッドライン』を確認させるべき」

韓国産業資源部(省に相当)長官出身の鄭徳亀(チョン・ドクク)ニア財団理事長が、韓中国交正常化29周年(8月24日)を前に、中国克服戦略を提案する著書『克中之計』を出版した。鄭理事長は、中国の北京大学・人民大学招聘(しょうへい)教授や中国社会科学院研究顧問を務めた中国専門家だ。

鄭理事長は23日、本紙のインタビューで「今のように原則なく中国に従順でいたら、恥辱的な『隷属』の道へ向かうことは避けられず、こうした関係は次の世代まで相続される」とし「中国は目標と夢を実現する過程でいつでも韓国の生存権を脅かす仮想の敵になり得るということを念頭に置いておかねばならない」とも語った。

-このところ中国の攻撃的な外交に対する懸念が強まっている。

「これまで韓国が中国を見誤っていたのであって、中国が変わったわけではない。中国共産党にとって、西欧民主主義移植の代表的成功事例である韓国とK文化は常に『目の上のこぶ』だった。経済的に必要だから韓国を利用してきたが、今や中国は半導体一つを除いて韓国に未練はない。韓国を十分に上回り、今後も産業構造において優位を占めるという確信が生じるや、隠してきた爪をあらわにしているのだ」

-北朝鮮の核問題解決などのため中国の役割は重要ではないか。

「朴槿恵(パク・クンへ)前大統領は天安門の門楼に上り、文在寅(ムン・ジェイン)政権は中国に『THAAD(高高度防衛ミサイル)3不』を約束したが、韓国の主権が損なわれただけで、得た物は何かあるか? 習近平は気をもませるだけで訪韓もしない。中国が北朝鮮の核問題を解決してくれるという信頼は神話にすぎない。米国が北朝鮮先制攻撃や制裁のような圧迫をうんぬんするときだけ、中国は仕方なく北朝鮮に影響力を行使する。歴代のどの政権も、こうした中国の実態を正確に把握できなかった」

-この過程で、米国では「韓国が中国に偏った」という疑念が大きくなった。

「かつてはそうした傾斜、便乗の費用はそれほど大きくなかった。だが米中が世界の覇権を巡って鋭くぶつかっている今では、傾斜の費用は10倍以上も大きくなった。誤った判断が回復し得ない結果につながりかねない」

2021/08/28 10:35/朝鮮日報日本語版
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のつづき。

-爪をあらわにした中国の前で、韓国の生存戦略は何か。

「韓中関係は、かつては補完的生存関係だったが、今は違う。米国の影響力が減っていく中で生じた空白は、『自強』で埋めなければならない。半導体・新素材・ワクチンといった核心技術、源泉技術、ニッチ技術で中国と少なくとも2段階以上の大きな格差を維持すべきだ。中国が必要とし、中国が恐れる国になれなければ、共存ではなく隷属あるのみだ。隷属は構造的なもので、今の世代では終わらず、次の世代に相続される」

-自強とは、米国とも距離を置くべきということか。

「米国が韓国の『最後の融資元』になることはできないが、一方で韓国の自強は、民主的秩序による連帯の下でなければ不可能だ。米国・日本・オーストラリア・インド間の安全保障協力体『クアッド』は、先端技術分野で中国をけん制するため『クアッド技術ネットワーク(QTN)』を発足させ、関連情報を共有し始めた。中国が追随できない科学技術開発のためのネットワークだ。韓国はここに必ず参加しなければならない」

-今の大統領選ランナーに、これに関する考えは見られるか。

「経済は民間の方が重要なプレーヤーだが、安全保障は大統領の領域だ。にもかかわらず、大統領選ランナーが米中の覇権対決時代に合った韓国の生存戦略について悩んでいるという話を聞いたことがない。これより至急の問題がどこにあるのか」

-次期大統領は、対中外交の第一に何をすべきか。

「変化した環境の中で共存の枠組みを作らなければならない。このために、習近平と会い、韓国の主権と生存権を侵害できないレッドラインをはっきりと確認させるべきだ。領海・領空への無断侵入、歴史歪曲(わいきょく)やアイデンティティーの侵害行為、北朝鮮の対南脅迫・攻撃行為への同調などだ。このラインを越えるときは従順ではなく強硬対応の方針を鮮明にし、実際に履行しなければならない。もちろん、韓国も中国の核心的利益には配慮すべきだ。ただし、現在中国が対外的に主張している核心的利益は数十種類にもなるので、これを全て守ってやることはできない。韓国の国益と相反しない範囲内でのみ設定すべきだ」