“抑え込みをしない”こともプランの1つ
神戸大学 岩田 健太郎(いわた・けんたろう)教授
爆発的な感染拡大が続く中、いま日本はどのような対策を取るべきなのか?感染症専門医、神戸大学医学部付属病院 感染症内科の岩田教授が大胆提言です。
近畿の感染者5014人 大阪は2826人
医療資源は限られている 今すぐにでも
Q岩田教授はオミクロン封じ込め対策は、労多くして功少なし。「抑え込みをしない」こともプランの1つ。とおっしゃっていますが、これはイギリス方式なんでしょうか?
(岩田教授)
「そうですね、イギリスの目指している方向性に近い、と思います。イギリスは1日20万人ぐらい感染者が出た時も、ある程度の人流抑制などはしていましたが、ロックダウンのようなことはしないと表明し続けてきました。オミクロン株でも重症者が出るので、毎日300人近くが死ぬという、相当痛みを伴う作戦でしたが、流行のピークは越えたようで、このまま下がっていくといわれています。非常に多くの感染者が出るのが、オミクロン株の特徴ですが、これを今までのデルタ株までのやり方だと、労力に対して得られる利益が小さいので、ちょっと方向性を変えるのはありだと思います。」
“第6波”とるべき戦略
Q岩田教授は、医療逼迫を防ぐため、診断は重症化リスクが高い層に特化し、リスクが低い層は診断を目指さない、医療資源は限られているので、今すぐにでも対応すべきだ。とおっしゃっていますが、詳しくはどういうことでしょうか?
(岩田教授)
「沖縄などのデータでわかってきていますが、若くて健康な方は、オミクロン株に感染しても、ほとんど風邪のような症状で、自然によくなっています。こういう方が大勢殺到することで、保健所や病院が機能不全に陥ってしまう。そうしているうちに、重症化リスクの高い方の受診が遅れたり、疎外されたりするのは本末転倒なわけです。感染者数がものすごく多いのが今回のオミクロン株の特徴で、これからも感染者は増えると思うのですが、そうなると、若くて健康なリスクの低い人は、病院を受診したりせず、家でじっとしてほかの人に感染させないようにする、糖尿病や非常に肥満があったり、高齢など、リスクの高い人が早期に受診をするといった、ある程度メリハリをつけた対策をしないと、医療の人的資源などを有効利用できない、というのがこの考えの根拠です。ただリスクの低いかどうかの判断は、デリケートな問題なので今後考えなければいけないです。」