
大学入学共通テストの問題が試験時間中に流出したとみられる問題で、解答を依頼した高校2年の女子生徒を名乗る人物が、発端となった家庭教師紹介サイトに「19歳」として登録していたことが、関係者への取材でわかった。この人物は警視庁の調べで偽名を名乗っていた可能性が高く、サイト上で接触した家庭教師の大学生から年齢の件を問われると、「私の選択ミスです」などと答えていた。
高校2年の女子生徒を名乗る人物は、サイトのプロフィル欄に、性別は「女性」、年齢は「19歳」と選択して登録していた。浪人や留年などがなければ、高校2年は16歳か17歳が大半だ。
この人物は昨年12月、サイト上で家庭教師として登録する大学生に「現在高校2年です。共通テスト対策で、指導をお願いしたいです」などとメッセージを送信。プロフィル欄を見た大学生が「19歳と表記されていたのですが、高校2年生という認識で大丈夫ですか」と尋ねたところ、「年齢の件はおそらく私の選択ミスです。混乱させて申し訳ないです」などと返信してきた。その後、インターネット通話アプリ「スカイプ」のID交換を持ちかけ、スカイプのチャット機能でやり取りを行っていた。
大学生は「文面は高校生として違和感はなかったので当時は怪しいとまでは思わなかった」と語った。
一方、このサイトは2015年設立の東京都内のウェブサービス会社が運営し、大学生約200人を、家庭教師を探す高校生らに紹介するサービスを展開。サイトの規約では、未成年の生徒の利用登録には保護者の同意が必要だが、実際は登録者の自己申告任せになっていた。
また、家庭教師として登録する一部の大学生は本人確認をしておらず、同社は問題発覚後、大学生に学生証の提示を求めている。
同社は、この人物が複数の大学生にスカイプでのやり取りを呼びかけていたことを確認。この人物のサイト利用を停止したうえで、大学生に授業以外の要求は拒否するようにメールなどで注意喚起した。
同社の社長は読売新聞の取材に、「試験問題の流出が事実なら、悪用されたことは遺憾。ほかの家庭教師紹介サイトと比べて、うちが安全面で劣っていることはないと思う」と語った。