鮮魚店の店頭に並ぶアサリ
中国産や韓国産のアサリの大半が「熊本県産」に偽装されて流通していた問題を受け、山口県が熊本県と直接連携して調査を進めていることが分かった。熊本県によると、県内経由の輸入アサリは全体の2割で、8割を占めるとみられる山口県・下関港ルートの実態解明が期待される。
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熊本県によると、2020年に輸入されたアサリは3万5370トン。そのうち2割が県内の蓄養場などへの仮置きを経て、産地が偽装されていたとみられる。8割は下関港ルートで輸入されていたが、流通経路が複雑で実態は不透明という。
熊本県の漁業者らは、県の要請で今月8日から約2カ月間にわたって県産アサリの出荷を停止。県は「『熊本県産』が出回れば偽装をあぶり出せる」としている。一方、問題発覚後は、これまでほとんど流通していなかった「中国産」と表示されたアサリが多く出回っている。
山口県は「県域をまたぐ産地偽装システムの解明に向け、熊本県とも直接やりとりし、情報共有を始めている。流通の『下流』に当たる販売店側から『上流』にさかのぼって調査する」としている。(古川努)