岡山市の住宅で西田真愛(まお)ちゃん(当時5歳)が虐待され、その後死亡した事件では、強要容疑で逮捕された母親と交際相手の男が、真愛ちゃんを鍋の中に長時間立たせ続け、その状況を動画で撮影するなど異様な行為が明らかになってきている。周辺の証言からは、子ども4人を育てていた母親が男と出会い、変貌(へんぼう)した様子も浮かぶ。2人は3月2日、勾留期限を迎える。
見守り対象に
事件では、母親(34)と交際相手の男(38)が昨年9月10~23日、母子の自宅で、真愛ちゃんを両手鍋の中に最長6時間立たせたなどとする容疑で逮捕された。真愛ちゃんは9月25日に救急搬送され、今年1月に6歳で死亡した。
「言い方はきつかったけど、子どもをかわいがっていたと思う」。母子が3年前まで暮らした広島市のマンションに住む女性(71)は、母親についてそう振り返る。
母親は一人で真愛ちゃんと3人の兄姉を育てていた。孫が真愛ちゃんの兄と同級生だったという女性は、兄を自宅に招いた際、「お母さんは怖いときもあるけど優しい。ハンバーグをつくってくれる」と話していたのを覚えている。
広島市の児童相談所によると、母親は子どもの養育に不安があるとして見守り対象になっていたが、深刻なものではなく、2度の助言・指導を経て対象から外れていた。
「出して」泣き声
岡山県警本部
母親が変わったのは2018年末頃に岡山市に転居し、逮捕された男と交際を始めてからとみられる。近所に住む女性(81)は男が出入りし、子どもたちが外に出されているのを目撃。真愛ちゃんが「悪くないのに叱られる」と泣き、顔にあざがあるのを見た住人もいた。20年末頃には事件現場となった住宅に移ったが、近所の男性はその直後、深夜に女児が「出して」と泣き叫ぶ声を耳にしていた。
捜査関係者によると、室内には小型カメラが複数設置され、真愛ちゃんが虐待される様子が撮影されていた。男が「楽しい時間が始まる」と話す音声も記録され、母親が止める様子はなかったという。