10月21日に召集された第219臨時国会において、自民党の高市早苗総裁が第104代首相に選出され、日本初の女性首相誕生に世間の注目が集まる中、政界関係者の関心は、自民党との連立政権樹立に正式合意した日本維新の会の今後の立ち回りに向けられています。吉村洋文代表自身が「党消滅もあり得る」と発言する一方で、既に党内からは執行部の方針、特に「閣外協力」の形態に疑問を呈する声も上がっています。
連立合意の署名と維新の15年
10月20日、国会内で連立政権樹立に向けた合意書に署名した自民党の高市早苗総裁と日本維新の会の吉村洋文代表。高市氏が安堵の表情を見せる中、吉村氏は終始引き締まった面持ちで万年筆を走らせていました。2010年に地域政党「大阪維新の会」として結党されてから15年。日本維新の会はついに連立与党入りを果たしたのです。
高市早苗自民党総裁と日本維新の会吉村洋文代表、連立政権樹立合意後の会見風景
合意書への署名前日に行われた常任役員会では、「国政の動きに対し、吉村代表と藤田文武共同代表に全て一任することが決まった。閣外協力にあたっての具体的な話などは出なかった」と出席者の一人は語っています。
「閣外協力」への内部・外部からの疑問
しかし、今回の「閣外協力」という形態に対し、党内及び外部からは既に異論が噴出しています。
党内からの批判:松沢成文参院議員
日本維新の会の松沢成文参院議員(67)は、「高市さんは『閣内に入ってフルスペックで協力してほしい』と言ってきたのに、根性がないから閣僚は断ったんでしょうね。自信がないのか遠慮がちなのか。何を考えているんだろうか」と、内閣への不参加を厳しく批判。さらに、事前の政策協議で維新側が自民党に要望した「副首都構想」と「議員定数削減」について、松沢氏は疑問を投げかけます。副首都構想は大阪都構想を前提としたものであり、特別区がある都道府県しか副首都になれないような法案作りになっていることから、「大阪でこの一大プロジェクトをやりたいのであれば、なぜ『総務大臣が欲しい』と言わないのか」と指摘しています。
元維新議員からの指摘:足立康史参院議員
かつて日本維新の会の政調会長を務め、現在は国民民主党に所属する足立康史参院議員(60)もまた、厳しい見方を示しています。「憲法66条3項に『内閣は国会に対し連帯して責任を負う』と書いてあります。内閣に入らないというのは、責任を負わないということなんですね。吉村さんはいつも『覚悟を決める』とか格好いい言葉を並べるんですけど、結局は腰砕け。責任を持たないということは、いつでも逃げ出せるということです」と、吉村代表の決断を「腰砕け」と表現し、責任逃れである可能性を指摘しています。
結び
日本初の女性首相である高市早苗氏の誕生と時を同じくして、長年の悲願であった連立与党入りを果たした日本維新の会。しかし、その選択した「閣外協力」という道筋は、早くも党内外から疑問符を突きつけられています。吉村代表が語る「党消滅」の可能性を乗り越え、維新の会がこの新たな政治局面でどのような役割を果たし、いかなる未来を描くのか。今後の動向が注目されます。
参考文献
- 週刊新潮 2025年10月30日号掲載「『日本維新の会』研究 『党消滅もある』吉村洋文代表の今は絶対明かせない本心」
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