高市首相の発足に伴い、新たに「外国人との秩序ある共生社会推進担当相」が設置され、小野田紀美氏(42)がその重責を担うことになりました。10月22日の会見で小野田氏は、「一部の外国人による犯罪や迷惑行為、各種制度の不適切な利用などにより、国民の皆さまが不安や不公平を感じる状況も現在生じています」と述べ、外国人問題への政府の本格的な取り組みを示唆。これにより、今年7月の参院選で主要な争点の一つとなった外国人政策が、再び国民の注目を集めています。
この外国人問題において、積極的な政策提言を行い、参院選で大きく躍進したのが、神谷宗幣代表(48)率いる参政党です。同党は、外国人の過度な受け入れ規制などを盛り込んだ「日本人ファースト」を掲げ、非改選議席と合わせて合計15議席を獲得し、その存在感を増しています。高市首相が臨時国会での首相指名選挙に先立ち、神谷氏との会談で「参政党と政策が近い」と発言するなど、外国人政策においては両党の連携が予測される状況です。
高市政権、新設された外国人政策担当相の狙い
新設された「外国人との秩序ある共生社会推進担当相」に就任した小野田紀美氏は、国民が抱く外国人に関する「不安や不公平」の解消を重要な使命と位置づけています。これは、現行の外国人受け入れ体制や共生社会のあり方に対し、政府がより踏み込んだ対応を取る意向の表れと言えるでしょう。この新設ポストは、外国人問題が単なる経済・労働問題に留まらず、社会秩序や国民感情に深く関わる課題として認識されていることを示唆しています。
参政党・神谷代表の独自路線:「日本人ファースト」と連立への見解
『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日系)に10月26日に出演した参政党の神谷宗幣代表は、「(総裁選候補者の中で)一番政策が近いのが高市さん」と高市政権との政策的な近さを認めつつも、「政策が近いということは、我々が目指す方向と近いということですから、トータルで見ればプラスが大きいと思っています」と期待を表明しました。しかし同時に、「(政策が)どのぐらい同じかというと、半分もないぐらい。(連立を組んで)一緒になってもすぐに別れることになると思います」と述べ、あくまで野党として独自のスタンスを貫く姿勢を明確にしました。参政党の掲げる「日本人ファースト」政策は、外国人の過剰な受け入れを規制し、日本人の利益を最優先するという点で、高市政権の外国人政策と共通する部分があると見られています。
「日本人の定義」を巡る白熱した議論:長谷川ミラ氏の問いかけ
番組中、高市政権の外国人政策と参政党の「日本人ファースト」に関する議論が交わされる中で、父親が南アフリカ人、母親が日本人のハーフであるモデルの長谷川ミラ氏(28)は、神谷氏に対し核心的な質問を投げかけました。「神谷さんに是非お伺いしたい。参政党は様々な“日本人の定義”だとか、前回の選挙で色々話題になりましたが、“(参政党が考える日本人とは)誰”なのか。もう一度お伺いしたい。私は日本国籍で、父は外国人、母は日本人で。参政党の公約を見て、自分が“日本人・日本人じゃない”と言われる対象になることに、ショックを受けまして」。この問いかけは、多様化する現代社会における「日本人」というアイデンティティのあり方を浮き彫りにしました。
神谷氏の見解:国籍と文化・貢献度の複雑な線引き
長谷川氏の質問に対し、神谷氏は「一番わかりやすいのは国籍、これが一番、白黒がはっきりするところだと思います。けれども、国籍だけ持ってても、日本語もしゃべれない、文化もよくわからない、それはどうなの?と思いますね。一方で、国籍はまだ取れてないけど、日本に長く住んで税金を払って、日本語もしゃべれる、日本人と一緒にやりたいと思っている。私は、そういう人は、日本人じゃないかなと思っているんです。ただ、すごく難しいんです。線が引けないから。だから、国籍なんです」と、その複雑な見解を説明しました。
テレビ番組で「日本人の定義」について語る参政党の神谷宗幣代表
さらにタレントの東国原英夫氏(68)が、「“日本ファースト”ではなく“日本人ファースト”。これ全然違いますからね。国籍をとった人間は日本人なんですよ」と指摘すると、神谷氏は「我々はアンチ・グローバリズムと言っていたんですよ。グローバリズムとは、グローバル化が進む中で、巨大企業やお金持ち、エリートが世界を動かしていく形。我々は反グローバリズムだから、もっと愛国心を持ったナショナリストが、庶民、大衆のための政治をやる。大衆も政治に参加する。この大衆というのが、日本人。やはり、“日本人として日本を一緒に盛り上げていこう”“日本人と一緒に上手くやっていこう”という気持ちがあって、行動されている方は、それでいいんですよ」と主張しました。これは、単なる国籍を超えた「日本を愛し、共に歩む意思」を「日本人」の要件として重視する姿勢を示すものでしたが、一方で「線引き」の明確さでは「やはり国籍しかない」との現実的な見方も示し、その定義の難しさを改めて浮き彫りにしました。
移民政策と帰化要件への厳しい視点
社会学者の古市憲寿氏(40)から「国籍を変える気がある人に対しては、帰化要件をもっと柔軟に運用してもいいということか」と問われると、神谷氏は「今でも緩いぐらいなので、もっと厳しくしてもいい」と明言。現行の外国人受け入れ制度についても「厳しくするべき。日本人と一緒に暮らしてもらうためには、受け入れの上限があり、今は(上限を)超えた数を一気に受け入れようとしていますから、もう少しペースを落として。よく誤解されますが、外国人を全員追い出せと言ってるわけじゃないんです。一緒に日本の文化を守って、一緒に暮らそうという人たちは受け入れていけばいいけれども」と、慎重な姿勢を示しました。
神谷氏は今年8月にも自身のX(旧Twitter)で「外国をみても移民が10%を超えたらとんでもないことになっています。今入れていいのは5%以下だと考えています」と指摘しており、番組でもこの主張を繰り返しました。これに対し古市氏が「(外国人の)入れ方じゃないですか?神谷さんが言った、日本語がちゃんとしゃべれる、日本文化を愛してくれる、そういう人は10パーを超える分にはいいんですか?」と問い詰めると、神谷氏は「でも今はそうなっていないから、どんどん統合できない状態になってくるので、今は立ち止まらないといけないんです」と述べ、現状における統合の難しさを強調しました。
「日本人の定義」は曖昧か?SNSでの疑問の声
高市政権の発足により、再びスポットが当てられた参政党の外国人政策と「日本人の定義」。番組内では神谷氏が様々な質問攻めに遭いましたが、放送後、X(旧Twitter)上では、その「日本人の定義」が“あいまい”であるとして、多くの疑問の声が上がりました。
「なんだこれ 結局『日本人』とは?『日本語が喋れて日本の文化を大事にしてくれる人はOK』『じゃあ、そういう人たちなら10%超えても?』『いやいやいや…』調子いいこと言おうとして、どんどんドツボにはまる」といった意見や、「神谷さん自身が、自分が言うところの『日本人』をちゃんと定義していないことがよくわかった」「主張にブレがあるように思うね。日本国籍を持っている人が日本人なのか、外国籍だけど日本語が話せて日本文化に理解をしている人が日本人なのかどちらを言っているのかがいまいちよく分からなかった」など、神谷氏の発言に対する明確な定義の不足や矛盾を指摘する声が多数見られました。また、「自分が言ったことについて、どう突っ込まれるかということを『予め想定して準備』してないな 出たとこ勝負で話をしている だから話がどんどん矛盾を深めていくんだなぁ」といった、議論の準備不足を指摘するコメントもあり、世論の関心の高さと同時に、この問題の根深さを示しています。
結論
高市政権の外国人との共生社会推進担当相の設置と、参政党・神谷宗幣代表による「日本人ファースト」および「日本人の定義」に関する発言は、日本社会における外国人政策の方向性と、国民のアイデンティティに関する議論が活発化していることを示しています。神谷氏の国籍と文化・貢献度を両立させようとする「日本人の定義」は、その複雑さゆえに明確な線引きの難しさを露呈し、社会的な議論の必要性を改めて浮き彫りにしました。この問題は今後も、日本社会にとって重要な政治的・社会的な焦点であり続けるでしょう。
参考資料





