自民党の高市早苗総裁が10月21日、第104代内閣総理大臣に指名され、新内閣を発足させた。ご祝儀相場といえども、読売新聞の世論調査では70%を超す内閣支持率を記録するロケットスタートとなった。
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理由は憲政史上初の女性宰相ということにとどまらない。閣僚人事が、一定の刷新感を持って受け止められた。さらに、自民、公明両党の連立政権から、初の自民党と日本維新の会による連立となったことの目新しさが勢いを加速させた。
国会議員の定数削減といった自維連立合意が連日報道された。その内容についての高市首相の姿勢に、退路を断つほどの覚悟があると受け止められたのだろう。無論、高市・維新カラーの政策に賛否が割れるのは自然である。その上で、長期政権を狙うには、閣僚らの持ち味を十分に発揮させ、期待を失望に変えない舵取りが出来るかどうかがカギとなる。
閣僚の顔ぶれは、先の総裁選で激しく争った小泉進次郎氏を防衛相、林芳正氏を総務相に任命し、一応の挙党体制は整えた。歯に衣着せぬ論争を厭わぬ姿勢が持ち味の片山さつき氏を財務相に就けるなど、強いインパクトのある女性起用を行った。
一方、地味ではあるが見落としてはならない特徴は、全国的には決して知名度の高くない中堅・若手を、相次いで閣僚に抜擢したことだ。そして、その多くは、党内で保守政治家を自任する面々である。
この中で筆頭格と言えるのは、内閣の要である官房長官の座に就いた木原稔氏であろう。彼らは、高市協奏曲に通底する静かな、しかし芯に響く伴奏音となっている。保守政権を地道に支える基盤なのだ。
高市内閣は、自維連立という未知の領域を歩むことになる。公明党は連立を抜けて野党に転じ、26年ぶりにたもとを分かった。しかも、自維政権は少数与党のまま臨時国会に突入した。党内には派閥による政治資金問題など火種はいくつも残る。
国民へのアピールが鮮烈な側面と、ガラス細工のような党内バランスへの配慮、保守色を基調とした政策、国家の実現への模索――。こうした角度から、新内閣の顔ぶれを読み解いてみたい。
【市ノ瀬雅人/政治ジャーナリスト】
【前後編の前編】
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