ロシアのプーチン大統領(ロイター)
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を巡り、米アップルが2日までに、ロシアでiPhone(アイフォーン)など全ての製品の販売を停止した。米スポーツ用品大手「ナイキ」も商品の購入を制限。フランスのカンヌ国際映画祭の事務局もウクライナ侵攻を非難する声明を発表し、ソニー関連会社やディズニーも映画配給の停止を決めた。経済制裁など包囲網が敷かれつつあり、今後も“ロシア離れ”が加速する可能性がある。
ウクライナへの軍事侵攻を巡り、アップルなどグローバルカンパニーが続々とロシアから“撤退”を始めた。
アップルはロシアへの製品輸出を停止し、決済サービス「アップルペイ」のサービスを制限すると表明した。「ロシアのウクライナ侵攻を懸念している」とし、人道的支援や難民支援について協力するとした。
ロシアでアップルの通販サイトから製品を購入しようとすると、販売不可と表示される。アプリでは、ロシア国外でロシア国営メディア「RT」と「スプートニク」がダウンロードできなくなった。アイルランドの市場調査会社によると、ロシアのスマートフォン市場で、アップルのシェアは1位で約26%、ロシア国内でも人気が高まっていた。
検索サービスのグーグルもロシアの政府系メディアをニュース提供サービスから除外した。通信やIT関連からの“ロシア排除”の影響は今後も拡大するとみられる。
ロシアでも人気があるナイキはロシア語サイトで、サイトやアプリからの商品購入が一時的にできないと表示した。物流の問題で十分な供給ができなくなったとみられている。
ホンダは、ロシアへの乗用車と二輪車の輸出を停止したと明らかにした。乗用車は販売が低迷し、以前から今年中に輸出を終了する予定だった。マツダもロシアの工場に向けた自動車部品の輸出を停止すると明らかに。米フォード・モーターも合弁事業の停止を決めた。
エンターテインメント分野でも影響は拡大している。フランスのカンヌ国際映画祭(5月17~28日開催予定)の事務局は声明で、「ウクライナ国民が満足する条件で戦争が終わらなければ、ロシアの公式代表団やロシア政府と関係のある人物は受け入れない」と表明。危険にさらされたウクライナの映画関係者と家族に思いをはせ、ロシアで侵攻に抗議する人々にも敬意を表するとした。映画界では、米ウォルト・ディズニーとソニーグループがそれぞれロシアでの新作映画の公開停止を発表している。
報知新聞社