11月8日の土曜日、木枯らしの吹く肌寒い週末、東京都豊島区にある東池袋中央公園では、550人分の食料をビニール袋に詰め込む作業が行われていた。この公園で月2回、定期的に開かれる生活困窮者への食料配給、いわゆる「炊き出し」の準備であるが、スタッフの男性はある“異変”を口にする。「この半年間でご高齢の方がかなり増えた」というのだ。
【写真を見る】生活困窮者のために代々木公園で定期的に開催されている炊き出しの様子
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※本稿は「週刊新潮」2025年11月20日号掲載【「生活保護」申請増加で年金生活者がバカを見る】の一部を抜粋/編集したものです。
この半年で食料配給に並ぶ“普通の身なりの高齢者”が急増
定価430円のメンチカツ弁当の他に、食パン1斤とキュウリが2本、来るべき冬に備えての手袋など。それがこの日の支給品だった。
「公園の炊き出しに毎回ボランティアとして参加していますが、この半年間だけでもご高齢の方がかなり増えた印象ですね」
とは、NPO法人「TENOHASI」に所属する30代の男性スタッフ。
「ざっと2割くらいは増えたでしょうか。急なことで、理由も分からず不思議に思っています。炊き出しでは食料品を配るだけでなく、生活全般をはじめ、医療や法律に関する相談ができるブースも設けられています。そこでも、相談に来るのは高齢の方が中心ですね」
同法人の代表理事を務める清野賢司氏が話を継ぐ。
「私たちはバブル崩壊で増加したホームレス対策の一環で、1999年から約25年間、炊き出しを続けてきました。以前はホームレスの参加者が多かったのですが最近は少なくなってきましてね。代わりにアパートなど家屋に暮らす方が7割を占めるようになった。相談内容も“収入が不安定なため家賃が払えないので退去を迫られている”など、この物価高では東京で賃貸生活もままならない様子。国民年金や厚生年金を貰っていても生きていけない。生活保護を受けるしかないという高齢の方が大勢いらっしゃいます」
この炊き出しをきっかけに、生活保護の申請に踏み切る人もいるという。
「昨年だけでも、100名くらいの方が生活保護の申請相談に来られました。平均年齢は55歳前後と高齢化が進んでいます」(同)






