佐賀県警察本部
佐賀県警に窃盗容疑で逮捕され、その後不起訴になった県内の30歳代男性と、当時の担当弁護士が1日、違法な取り調べで精神的苦痛を受けたなどとして、県を相手取り、330万円の損害賠償を求める国家賠償請求訴訟を佐賀地裁に起こした。
訴状では、県警の取調官が、逮捕当初から容疑を否認し、黙秘を続けた男性に対して、「俺は署のエースだからある程度の権限はある」「(供述すれば)公判で判決が重くならない」などと便宜供与することを示唆したり、虚偽の自白調書を作成して署名押印を迫ったりしたほか、弁護士との接見内容を聴取して秘密交通権を侵害した――などとしている。
弁護団などによると、男性は2020年12月、県内の工事現場で、ソーラー式信号機1台などを盗んだとして、昨年1、2月に2度逮捕され、同年3月22日付でいずれも不起訴になった。
担当弁護士は県警や県公安委員会に抗議したが、「問題はなかった」と回答があったという。
男性は「警察がこんなに恐ろしい取り調べをしているとの現実を一人でも多くの人に知ってもらおうと、訴訟を決断した」、弁護団は「捜査手法への苦情を無視し、処分もないのは極めて遺憾。県警の体質にも問題があると考えざるを得ない」とコメントを出した。
県警監察課は「訴状の内容を確認した上で適切に対応する」、県公安委は「現時点ではコメントできない」としている。