児童相談所職員によるコロナ検査の不正が発覚し、陳謝する大阪府福祉部の幹部ら=22日午後、府庁
大阪府は22日、運営する「富田林子ども家庭センター」(児童相談所)の職員が、一時保護対象の子供を民間の児童福祉施設に引き渡す際、新型コロナウイルス検査の手続きで不正を行っていたと発表した。上司の指示で、職員自身の唾液を子供の唾液と偽って提出した。子供は「陰性」とされ昨年12月に施設に入所したが、施設内感染は確認されていないという。
【イラストでみる】どんな場合に「みなし陽性」?
上司と職員は府の調査に子供の唾液が出にくかったとして「焦って正しい判断ができなかった」と説明。記者会見した府福祉部の奥村健志(けんじ)次長は「行政検査への信頼を失墜する行為で許されない」と述べ、陳謝した。府は2人の処分を検討している。
府によると、子供は府の一時保護施設から民間施設に移送される昨年12月15日にコロナを疑わせる症状を発し、抗原検査を実施したが唾液を採取できず、職員が自身の唾液を提出した。翌16日に陰性の結果が出たため、子供は施設で集団生活を始めた。不正を行った職員が今年2月、府職員に相談して発覚した。
府は再発防止策として、施設の感染対策の重要性を職員に周知するほか、センターの所長を含む複数の職員で検査結果などを共有する。