第1局を制し、対局を振り返る渡辺明名人=東京都文京区のホテル椿山荘東京で2022年4月7日午後6時15分、猪飼健史撮影
東京都文京区で指された第80期名人戦七番勝負第1局は7日、渡辺明名人(37)の先勝で決着した。終局後、渡辺は「入玉の形になってきたので、読み抜けがあってはいけないので慎重にいった」と、夕方の休憩前の決着を急がずに慎重姿勢を貫いたことを明かし、敗れた斎藤慎太郎八段(28)は「△4五歩は不用意な仕掛けで、その後は形勢が戻らなかった」と、1日目の一手を悔やんだ。
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渡辺は「封じ手(▲5三銀成)の後、(△同金に▲同角成と)角を切っていくか(本譜のように)桂馬からいくか一晩考えて、桂跳ねの方でいきました。具体的に攻めの手番が回るまでは模様がいい程度かなと。▲5九香と打ってようやく見通しが立ちました。休憩時間とか変更になった点もあるので、感覚をつかんで次局以降に生かしていきたいと思います」と振り返った。
斎藤は「▲9五歩と端を取られたので△4四歩~6四角を急ぐ形というイメージで進めていました。△4五歩は不用意な仕掛けになってしまいました。後手番なので、もう少し穏やかに指すべきだったなと、手順が進んでから感じていました。封じ手の局面では、互角に戻すのは厳しいかなと。△4五歩を突いてから形勢が戻らなかったと感じています。将棋以外の点では、よい環境で指させてもらえているので、内容を整えなければなと思います」と気を引き締めた。【丸山進】