プーチン大統領を支える4人の女性(写真:API/アフロ、ロイター/アフロ、アフロ、ゲッティ)
いまや一部の側近すら信頼できなくなっているといわれているプーチン大統領ですが、その能力を高く評価し抜擢している4人の女性が存在します。プーチン政権を支えてきた彼女たちの、生い立ちや過去の言動、大統領の思惑まで、ロシアに28年間在住した国際関係アナリスト・北野幸伯さんが解説します。
影響力No.1の“女帝” ワレンチナ・マトビエンコ氏
ワレンチナ・マトビエンコ氏(写真:API/アフロ)
1人目は、ロシア初の女性上院議長となった、ワレンチナ・マトビエンコ氏。1949年生まれで、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国(現ウクライナ)の出身です。
ワレンチナ・マトビエンコ氏の略歴
とにかくお酒が強く、“グラスのバーリカ“(ウォッカをグラスで飲む人)というニックネームがつくほどです。1989年旧ソ連時代に議員になり、その後1998年にロシアの副首相に就任、2003年~2011年にはサンクトペテルブルク市長に就任しました。2013年には、ロシアで調査された「最も影響力のある女性ランキング」の1位になっています。
ウクライナ侵攻の後押しも
ロシアの国会では、プーチン大統領のウクライナ派兵を全面的に後押して「今回の“特別軍事作戦”は戦火を止めるためのもので、そのためには軍事作戦を行うしかありません!」とロシア議会のトップとして、派兵を全面的にサポートする発言をしています。筑波学院大学の中村逸郎教授によると「一時期、プーチン大統領に影響力を持っている人の中でNo.1だろうという話もあり、日本でも北方領土問題の交渉をするなら『まず最初にマトビエンコ氏を窓口にすべき』と言われていました。プーチン大統領に忠誠を誓うだけでなく、大統領の意をくんで様々な発言ができる人です」ということです。プーチン大統領からも高く評価されていて「現代ロシアの“女帝”」とも呼ばれています。
ロシアで28年間生活した国際関係アナリスト 北野幸伯さん
Q.ワレンチナ・マトビエンコ氏はウクライナ出身なのに、ウクライナ侵攻を支持しているのですか?
(国際関係アナリスト 北野幸伯さん)
「マトビエンコ氏は、ロシアと一つの国だったソビエト時代のウクライナが長いので、それほどウクライナ人という意識がないのだと思います」