甲府地方裁判所
山梨県北杜市の山間部で無許可の盛り土が繰り返された問題で、県条例違反に問われた造成業「バイオ・テック・ジャパン」代表取締役の男(75)の初公判が12日、甲府地裁(青木美佳裁判官)であった。男は起訴事実を認め、検察側が懲役1年を求刑して即日結審した。判決は5月17日。
起訴状によると、男は昨年7~12月、同市須玉町大蔵の山間部に首都圏や県内から建設残土などの土砂を搬入し、県の許可を得ずに約5200平方メートルにわたって盛り土を造成したとされる。
条例は3000平方メートル以上の盛り土を行う場合、県の許可が必要と定めており、違反すると2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される。
冒頭陳述などで検察側は、男が2020年の夏頃から自身が管理する土地に土砂を受け入れるようになったと指摘。「(県から)条例違反の指摘を受けるたびに土砂を受け入れる土地を転々と変えて受け入れを繰り返した」と非難した。
男は被告人質問で、業者に残土の引き取りに使われる「残土券」を先に売ってしまったため、土砂の搬入を止められなかったことを明らかにした。
検察側は論告で「常習性がうかがわれ、犯情は極めて悪質だ」と述べた。弁護側は男が事実を認め、捜査に協力的だったなどとして執行猶予付きの判決を求めた。
県によると、男はほかにも市内5か所で無許可で盛り土を行ったとされる。男は公判後、報道陣の取材に「県や市の指導に従い、刑が確定してから1年以内に6か所全ての盛り土を条例違反ではない状態にする」と話した。