海上自衛隊掃海艇いずしまが撮影した北海道・知床半島沖で沈没した観光船「KAZU 1」(ロイター)
北海道・知床半島沖で乗客乗員26人が乗った観光船「KAZU 1(カズワン)」=19トン=が遭難した事故で、救援要請があった付近の水深約120メートルの海底に沈んでいる船が29日見つかった。海上自衛隊の掃海艇が、水中カメラで船体を発見。太陽光が届かず視界が悪い海底に「KAZU 1」と船首部に書かれた船が、船底を付けた状態で沈んでいるのが確認された。第1管区海上保安本部(小樽)は、この船をカズワンと特定した。
カズワンの引き揚げには、多くのリスクと費用がかかり、現実的には厳しい状況だ。船舶の処分などに詳しい信太商店の信太裕介社長は、「天候が変わりやすく波の動きも速い。季節的にすぐに作業をすることは難しい」とした上で「300トン級のクレーン船や支援する船、作業員、ダイバーの手配が必要になる。順調に進んだとして、1億円はかかるだろう」と述べた。今回の引き揚げにかかる費用は、原則的には運航会社「知床遊覧船」が負担することになる。国土交通省は、桂田社長が「可能な限り対応したい」と話したと明らかにした。
今後の作業については「潜水士が船のエンジン部分をワイヤで巻いてクレーン船で引き揚げるが、難易度は高い。引き揚げの際に重さで船体が破損する可能性もあり、慎重な作業が求められる」と指摘した。
報知新聞社