満員電車に朝からぐったり、なんてこともよくありますよね。しかし私は、ある日を境に苦痛が少し減った気がします。人があふれる大都会の満員電車には、優しさもあふれていることに気づかされた経験を紹介します。(高校生記者・つくし=3年)
電車内に突然の鼻血、血まみれでパニック…
電車の中で宿題をしていた
その日、私は学校帰りの電車で宿題を進めていました。乗換駅に到着し、立ち上がろうとした瞬間、膝の上に広げていた参考書が真っ赤に染まりました。突然鼻血が出てしまったのです。
かばんの中からティッシュを取り出そうとしても、手が血まみれで身動きが取れません。出血は止まらず、参考書も手のひらも血の海に。ただただ慌てて、パニックに陥ってしまいました。
「これ使って」ティッシュを差し出す乗客に助けられ
そのとき、女の人の声が聞こえました。
「これ使ってください」
正面に座っていた女性が、汗拭きシートを袋ごと差し出してくれたのです。乗り込んできた乗客たちも、次々にポケットティッシュを差し出してくれます。汚れたティッシュを入れるためのビニール袋をくれる人もいました。
隣の若い女性は、私と一緒に乗客にお辞儀をしながら「いきなりでびっくりしちゃったね。周りの人もびっくりしちゃうから、立てるようになったら一度電車を降りようか」と優しく言ってくれました。
優しさがうれしくて、涙が止まらない
乗客の女性と共に下車した(写真はイメージ)
やがて出血が収まってきて、全く知らない駅で隣の女性と共に下車しました。
長いエスカレーターを上った先のトイレまで案内してもらった私は、鼻をつまみながら声にならない声で「ここで大丈夫です。本当にありがとうございました」と言いました。女性は「いいえ、お大事にね」とほほえみ、ゆっくりと立ち去っていきました。
私は一番奥の個室にこもって、ひとりで泣き続けました。いきなり滝のように出てきた鼻血が怖かったのもありましたが、何より助けてくれた人たちの優しさに胸を打たれたのです。この出来事は一生、私の心に残り続けるでしょう。
困っている人がいたら私が助けたい
途方に暮れていた私に、ティッシュを差し出してくれた大勢の乗客。駅のトイレまで付き添ってくれた若い女性……周りにいたのは、顔も名前も知らないけれど、手を差し伸べてくれる親切な人ばかりでした。
あの人たちに、もう一度しっかりと感謝の気持ちを伝えたいです。そして、困っている人がいたら、今度は私が助ける番だと強く感じました。
高校生新聞社