政治的緊張がエンタメ界を直撃
11月7日の衆院予算委員会における高市早苗首相の台湾有事に関する答弁が中国の強い反発を招き、政治問題は音楽をはじめとする文化交流にも深刻な影響を及ぼし始めています。この緊張の高まりは、日本と中国の双方で予定されていた多数のイベント中止へとつながっています。
日本国内のボーイズグループJO1は、11月28日に広東省広州市で予定されていたファンイベントの中止を11月17日に発表しました。また、ギタリストの高中正義氏も11月20日に北京公演の延期を公式サイトで公表。さらに、11月19日に北京で開催予定だったシンガーソングライターKOKIAのコンサートも突然の中止が明らかになるなど、日本人アーティストの中国公演中止が相次いでいます。
香港トップスター、イーキン・チェン来日公演も中止
こうした動きは日本人アーティストに留まらず、中国・香港出身アーティストの日本公演にも波及しています。香港を代表する俳優・歌手イーキン・チェン氏が、12月5日に東京都内で予定されていたコンサート「〈Ekin Cheng Live In Tokyo 2025〉」を、11月25日に公式サイトで突如中止を発表しました。 発表では、《不可抗力の事由により、中止とさせていただくこととなりました》と説明され、楽しみにしていたファンへの深い謝罪が述べられました。
イーキン・チェン氏は1991年に歌手デビュー以来、香港のトップスターとして活躍。俳優としても数々の映画やドラマに出演し、アメリカ、イギリス、マレーシア、台湾、カナダなど国際的に活動しています。日本でも2009年公開の映画『カムイ外伝』に出演しており、多くのファンを抱えています。
香港のトップスター、イーキン・チェン
中止の背景とファンからの声
コンサートの企画・運営を担当した「ジェーズワン」の担当者によると、今回のイーキン・チェン氏の来日公演中止は、「日本のアーティストが中国での公演をキャンセルしている状況」に加え、「香港から多くの観客が来日することも考慮し、現状での開催を無理強いして問題が発生することを避けるため」との説明がなされています。香港側からの要請も踏まえ、協議の末に中止が決定されたとのことです。
この相次ぐ中止に対し、SNS上ではファンからの悲しみや困惑の声が多数寄せられています。「イーキン・チェンに会う夢見た。優しかった。来日コンサート行きたかったな」「香港関係ないと言ってた人もいたけど、そんなことなかった…」「イーキン・チェンの曲聴きながら出勤してるけど涙出てくる。めっちゃ楽しみにしてたんだよ」といった投稿からは、アーティストとファン双方にとって文化交流がいかに重要であるかが伺えます。
香港スターの公演中止を伝える文書
早期解決への期待
今回の事態は、政治的な緊張が文化というデリケートな分野にも深く影響を及ぼす現実を示しています。文化交流の中断は、人々の相互理解を深める機会を失わせかねません。関係者やファンからは、政府間での問題解決に向けた早期の進展が強く望まれています。





