捜索を終え、現場を離れる警察車両(12日、山梨道志村で)=大野琳華撮影
山梨県道志村の山中で発見された人骨は、近くのキャンプ場で行方不明になった小倉美咲さんの母とも子さん(39)と母系の血縁関係があることで矛盾しないとの結果が、県警の鑑定で明らかになった。これまで捜索活動に協力してきたボランティアや近隣住民らは悔しさをにじませ、とも子さんの心中を推し量った。
【写真】小倉美咲さんが行方不明となったキャンプ場付近
「ご家族には見つけてあげられず、申し訳ない気持ちでいっぱいです」。美咲さんが行方不明になった2019年9月21日の翌日からボランティアで捜索に参加した神奈川県の会社役員男性(40)は声を落とし、「正直、なんと言っていいか分からない。当時はくまなく捜し続けていたのに……」と複雑な心境を語った。
キャンプ場の近くに住む女性(85)は「行方不明になってから、ずっと美咲ちゃんのことを気にかけていた。私も子どもがいるので、お母さんの気持ちを考えると胸がつぶれそう」と声を震わせた。設備業の男性(55)は「いなくなった美咲ちゃんやお母さんが不憫(ふびん)でならない」と話した。
今回鑑定結果が出た数センチ四方の骨は4月23日にキャンプ場の東約600メートルの普段は水のない沢で発見された。キャンプ場の近くに住む同村の猟師の男性(76)は「現場の沢まで行く道は、子どもには歩きにくいはずなのに」と首をかしげる。同村の消防団員として捜索に携わってきた50歳代男性は「キャンプ場の周囲は何度も捜した場所で、今は複雑な思いだ」と語った。
県警が行ったミトコンドリアDNA鑑定は、母系の血縁関係を判別できるが個人の特定はできない。そのため、山中で見つかった骨が美咲さん本人のものと特定されたわけではない。
ボランティアで捜索に参加している神奈川県藤沢市の会社役員男性(51)は「まだ美咲さんのものと、はっきり決まったわけではない。0・1%でも可能性があるなら、信じて活動を続けたい」と話した。