【ソウル=桜井紀雄】韓国が国の公式記念日「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」とする14日、韓国各地で記念行事が行われた。ただ、政府主催の行事は新型コロナウイルス感染防止を理由に事前録画の放送にとどまり、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領からのメッセージもなかった。
8月14日は韓国人女性が1991年に慰安婦だったことを公の場で初めて証言した日で、文在寅(ムンジェイン)前政権は国の記念日とし、2018年から政府主催の式典を開いて文前大統領が演説したり、映像メッセージを寄せたりするなどこの日を重視してきた。文氏は一方で、15年の日韓慰安婦合意を事実上ほごにしようとした。
尹政権は文政権時代に極度に悪化した日韓関係の修復を目指し、慰安婦合意を尊重する立場を強調している。これに、元慰安婦支援団体は強く反発。10日にソウルの日本大使館近くで開いた集会で「尹政権は日本政府への屈従的な姿勢で一貫している」と批判した。
尹氏は、元慰安婦に対する支援を主管する女性家族省の廃止を公約に掲げ、7月には金賢淑(キムヒョンスク)女性家族相に廃止に向けた計画案を早期に用意するよう指示。尹政権下の元慰安婦支援事業の先行きは不透明な状況だ。