英トラス政権、国内シェールガスと北海油田開発へ 自給自足狙い

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英トラス政権、国内シェールガスと北海油田開発へ 自給自足狙い

初の閣議に出席するトラス英首相(左端)=ロンドンで2022年9月7日、ロイター

 トラス新政権が8日、発表した政策によると、近隣住民の同意を前提に、環境への負荷が高いフラッキング(水圧破砕)による国内シェールガスの採掘を認める。英政府の調査によると、英国には今後数十年間にわたり国内需要を満たすのに十分なガス埋蔵量があるとされる。

 また、北海での油田・ガス田の再開発にも本格的に乗り出し、開発許可を100件以上出す準備を進めている。従来の原子力や洋上風力発電の増強も継続し、エネルギーの自給自足体制の確立を急ぐ。

 ロシア産ガスの欧州への供給は激減している。英国はロシアと直接パイプラインでつながっていないものの、欧州全体の天然ガス価格の高騰が物価高に直結している。天然ガス田の開発には一定期間を要するため、すぐに供給を増やして物価を抑制することはできないが、トラス首相は8日の下院での演説で現在のエネルギー価格の高騰について「数十年にわたる近視眼的政策の結果」と強調。「グローバルなエネルギー市場と悪意のある国家に依存するのではなく、英国を40年までにエネルギーの輸出国家にしなければならない」と訴えた。

 だが、トラス政権の思惑通りに計画が実現するかは見通せない。英国は自国の温室効果ガス排出量を50年までに実質ゼロにする目標を掲げており、中長期的に国内の電力すべてを再生可能エネルギーや原子力などの非化石燃料でまかなう計画を進めている。今回のシェールガスなどの生産強化はこうした流れに逆行し、国際的にも批判が高まる可能性がある。

 また薬品を混ぜた高圧の水を噴射して岩盤を破砕してガスを回収するフラッキングは、水質汚染や地盤への影響が懸念される。英イングランドでは19年に採掘現場で地盤の振動が予想より大きくなったため、禁止された経緯がある。保守党は同年の公約で「科学的に確実に安全が保証されない限り支持しない」と明記している。今回の発表を受け、グリーンピースなどの環境団体がすでに反発しており、住民の理解が得られる保証はない。

 英国は商用原子炉をいち早く開発するなど原子力利用で国際的に先行した。しかし、1990年に電力市場を自由化したところ、原子力より価格の安い北海油田の燃料を利用したガス火力や石炭火力への依存が進んだ。北海油田の生産量はその後、低下。温室効果ガス削減に向けて石炭火力への依存を減らしたため、一時は発電能力の約2割を喪失する危機に陥った。

 その後、ロシアのウクライナ侵攻などでエネルギー安全保障への意識が高まり、最近では次世代エネルギーとされる核融合への開発支援を国を挙げて推進している。【ロンドン宮川裕章】

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