【解説】ロシアが親露地域で住民投票に踏み切る背景とは…慶応義塾大学・廣瀬陽子教授に聞く

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【解説】ロシアが親露地域で住民投票に踏み切る背景とは…慶応義塾大学・廣瀬陽子教授に聞く

日テレNEWS

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■ロシアが急きょ住民投票に踏み切った2つの理由

――東部ルハンシク州・ドネツク州、南部ザポリージャ州・ヘルソン州の親ロシア派勢力は20日、ロシア編入の是非を問う住民投票を今月23日から27日にかけて行うと発表しました。ロシアはなぜこのタイミングで住民投票に踏み切ったのでしょうか。

廣瀬教授:まさにロシアの焦りが反映されているのだと思います。そもそもロシアは、9月11日に行うはずだった住民投票を11月4日に延期することにしていました。現段階では領土を取り切れておらず、そのような状況で住民投票を行っても不十分だという認識だったのでしょう。1か月あれば4州全土の制圧ができるのではないかともくろんで、日程を変更したのだと思います。

しかし、ここにきてウクライナが反転攻勢しており、東部や南部を取り返しています。これはロシアにとってはまったく想定外のことでした。ウクライナ軍の侵攻がますます激しくなれば、ロシアは撤退をよぎなくされる可能性もあります。

プーチン大統領としては、「特別軍事作戦」を始めたときから、東部2州=ルハンシク州とドネツク州だけは最低限取るということになっていました。しかし、このままだとその二つすら手元に残らないかもしれない。

ところが、住民投票をやってしまえば、そのときロシアが獲得している領域についてはそのまま維持できる可能性が高い。そう考えて、早期に住民投票を行うという暴挙に出ようとしているのだと思います。

――ロシア国内の士気が低下していることも影響しているのでしょうか。

廣瀬教授:国内世論も影響を与えていると思います。実はロシア国内では主張がかなり二分化されていて、プーチン大統領はむしろど真ん中あたりにいるのです。反戦派がいる一方で、「プーチンがやっていることは手ぬるい」「核も使ってウクライナを殲滅してしまえ」と激しいことを言っている人たちもかなりいます。

国内がぶれている状況で、いまロシア軍が撤退しているというのは、政権にとって非常に都合が悪いのです。

このままでは国内統制がとれなくなってしまうので、文句を言わせないように、とりあえずいま取っている領土だけでもがっちり固める。それによってある程度状況を固定化して、国内をおさめたいのでしょう。

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■プーチン大統領の狙いは第二のクリミア化?国家総動員令の可能性は…

――そもそも、なぜ住民投票というやり方なのでしょうか。

廣瀬教授:プーチンや側近らは、2014年にクリミアで行ったこととまったく同じことを、東部と南部でやろうとしているのだと思います。

ウクライナから領土を奪ったということになると、ウクライナの主権を侵害したことになり、国際法の違反になりますよね。しかし、クリミアが自分たちの意思で独立して、独立国家としてロシア併合を望むのであれば、法的な問題は一応ないことになります。

そういった偽装をすることで内外からの批判を逃れたのが2014年。それとまったく同じことを今回もやろうとしているのでしょう。住民投票をやってしまえば、なし崩し的にロシアの一部になると想定しているのだと思います。

――一部の現地メディアではプーチン大統領による国家総動員令の可能性が取り上げられています。

廣瀬教授:国家総動員令は最後の砦といえます。今までは「特別軍事作戦」ということで国民には関係ないとしていたので、発令すれば国民からの不満が相当出てくるでしょう。

それでもプーチン大統領が国家総動員令を決意したということになれば、非常に危険な第一歩になってくると思います。

今までロシアの戦い方は弱いと言われていましたが、国家総動員令が出されれば軍事的なターニングポイントとなり、完全に盛り返してくるのではないかとみられています。

欧米もウクライナに対する兵器供与をグレードアップする必要があります。そうすると当然、戦争はエスカレーションして、特にウクライナ側の死者数がものすごい数になるでしょう。

一週間ほど前、ロシアのペスコフ大統領報道官は、国家総動員令について「まったく議論していない」と述べていました。

そうしたこともあり、国家総動員令をめぐる情報は唐突に出てきた印象があるのですが、逆に言えば一週間でロシアの戦況が非常に悪化して精神的にも追い詰められている可能性も高いと思います。

戦況も戦況ですから、「ないでしょう」とは言い切れない状況です。

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