新英国王、「偉大な母」踏襲 滑り出し順調も先行きに危うさ 息子に人気、容赦ない評価も〔深層探訪〕


新英国王、「偉大な母」踏襲 滑り出し順調も先行きに危うさ 息子に人気、容赦ない評価も〔深層探訪〕

チャールズ英国王=10日、ロンドン(AFP時事)

【写真特集】エリザベス女王~英史上最高齢の君主~

 ◇35%が「皇太子に譲位を」
 国葬を前に、ウェストミンスターホールに安置されたエリザベス女王のひつぎの一般弔問。国内外から訪れた弔問客の長い行列は、テムズ川の対岸沿いに延び、一時は待ち時間が20時間を超えた。既に朝晩は冷え込む初秋のロンドンで、徹夜もいとわず多くの人が長時間並ぶ光景は、女王が「国母」としていかに慕われ尊敬を集めていたかを如実に示した。

 大きな存在だった母の後を継いだチャールズ国王は、9日に放映された即位後初の国民向けテレビ演説で、国民のために「生涯を通じて奉仕する」と語った。「全生涯を国民にささげる」と誓った女王の姿勢を踏襲した形だ。この演説について、調査会社ユーガブが13日公表した即位後初の世論調査結果では、94%が「良い演説だった」と回答。「新国王として良い仕事をする」との答えも63%に達し、ひとまず好意的に受け止められている。

 一方で、即位に際しての署名で、机の上に置いてあったペン皿が邪魔で、いら立ちながら動かすよう側近に命じる様子がテレビ中継され、ネット上で「傲慢(ごうまん)な態度」との批判も浴びた。

 ユーガブの調査では、「チャールズ国王はある時点で退位し、国民の人気が高いウィリアム皇太子に譲位すべきだ」と考える人が35%に上った。即位後しばらくは批判を控える「ハネムーン期間」が終われば、偉大な母と常に比べられる国王に、容赦ない評価が下されることになる。

 ◇王子2人が頭痛の種
 エリザベス女王のひつぎと共に、バッキンガム宮殿からウェストミンスターホールへと行進する14日の葬列。チャールズ国王をはじめ多くの王室メンバーが軍服を着用する中、礼服姿で歩く2人の王子が注目を集めた。国王の次男ヘンリー王子と、女王の次男アンドルー王子だ。

 2人はここ数年、王室関連のゴシップ記事の常連だった。ヘンリー王子はメーガン妃とともに2020年、王室離脱を表明し米国へ移住。これに伴い、王子は現役の王室メンバーにだけ許される軍服の着用ができなくなった。

 アンドルー王子は、米国人女性への性的虐待疑惑で提訴された。多額の和解金を支払って裁判を回避したものの、軍の名誉職をはじめ、全ての公的立場の返上を強いられた。

 アンドルー王子への疑念が晴れたわけではなく、メディアの追及が今後も続く可能性は高い。また、ヘンリー王子は近く回顧録を出版する予定で、内容は不明だが「ウィリアム皇太子との溝に、さらにくさびを打ち込む」とも報じられる。再び大衆紙の格好のネタになり、国王の頭痛の種になることは間違いなさそうだ。(ロンドン時事)



Source link