27日、ロシア国境を越え、ジョージアに入国したロシア人ら(AP)
(写真:読売新聞)
ロシアで21日に発令された部分的動員を受け、招集を避けようと、対象となる若者らが周辺国に出国する動きが急拡大している。周辺国は混乱が生じる可能性があるとして警戒を強めている。
ロシア通信などによると、旧ソ連構成国のカザフスタン内務省は27日、発令以降、約9万8000人のロシア人が入国したと発表した。露統計局によると、昨年ロシアからカザフスタンに入国したのは約2万4000人だった。ロシア人は約1か月以内であればビザや旅券がなくても入国できるため、渡航者が急増している模様だ。
カザフ側の国境の町は、ロシア人でホテルや賃貸アパートが埋まり、野宿を余儀なくされる人も出ている。地元住民が、映画館を開放したケースもある。カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は27日、入国者急増に対処するため、ロシア側と協議する方針を示した。
露北部に隣接するフィンランドの国境警備当局も26日、1日あたり9000人近くがロシアから入国していると明らかにした。通常は3000人程度で、3倍に急増したことになる。当局はSNSで入国審査を厳格に行うと表明した。
また米CNNによると、露南部ジョージアとの国境付近でも25日、約16キロ・メートルに及ぶ車列が衛星写真で確認された。
ロシア語の独立系ニュースサイト「メドゥーザ」は25日、露大統領府の関係者の話として、動員対象となる男性の出国が28日にも大幅に制限される見通しだと報じ、更に波紋を広げている。露国防省は26日、報道を否定したが、国境警備を担う露連邦保安局(FSB)が出国を認めないケースがあったと既に相次いで報じられている。
米政策研究機関「戦争研究所」は26日、「プーチン政権は、戦闘に十分な人員を動員することと、国民(の不安)を静めるという(二つの困難な)問題に直面している」と指摘した。