ウクライナ国旗
【パリ=三井美奈】ロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプラインでガス漏れが起きた事件で、欧州連合(EU)は28日、声明で「深い懸念」を表明し、EUが真相解明のための捜査に協力すると明記した。北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は28日、「破壊工作」との見方を示した。
【写真】ガスパイプライン漏れたガスの気泡
この事件で、デンマークのフレデリクセン首相が27日に記者会見。同国の公共放送によると、首相は「状況から判断すると、故意に行われたもの。事故ではない」として、破壊工作によるものだとの見方を示した。ガス漏れはバルト海の同国領ボーンホルム島沖の水面下70~90メートルの地点で起きたとみられている。政府は28日、監視活動のためフリゲート艦などを派遣したと発表した。
EUの声明は「すべての状況は、人為的な行為の結果だと示している。欧州のエネルギー施設を故意に損傷するのは許せない」として、EUが結束して強い対応をとると明記した。
ストルテンベルグ氏は28日、ブリュッセルのNATO本部でデンマークのボドスコフ国防相と会談。声明で「パイプラインの破壊工作について話し合った。われわれは、NATO加盟国の重要なインフラの保護に取り組む」と表明した。北海油田を抱えるノルウェー政府は事件発覚後、近海施設の監視を強化する構えを示している。
ガス漏れは26日から27日にかけて、パイプライン「ノルドストリーム2」と「ノルドストリーム1」の計3カ所で見つかった。発表したデンマーク、スウェーデン両国政府は、現場から5カイリ(約9・3キロ)内をそれぞれ、航行禁止区域に指定している。