ゼレンスキー氏、ロシアの核の脅威阻止に世界の行動求める BBC単独取材


ゼレンスキー氏、ロシアの核の脅威阻止に世界の行動求める BBC単独取材

ゼレンスキー氏、ロシアの核の脅威阻止に世界の行動求める BBC単独取材

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシア政府が核兵器の使用に向けて「自国社会に準備させ始めている」と述べた。BBCの単独取材に応じた大統領は、ロシアにはまだ核兵器を使う用意はできていないと思うとも付け加えた。

首都キーウの大統領府でBBCのインタビューを受けたゼレンスキー氏は、自分がロシアへの先制攻撃を促したことはないと説明。自分の発言が誤訳されたのだと話した。

ゼレンスキー氏はBBCに、「私はこう言ったんです。先に相手をキックする必要があると。先制『攻撃』ではありません」と述べ、「キック」とはこの場合、制裁のことだと説明した。

ウクライナ軍は8月半ばから、南部や東部で反攻を成功させ、占領地の奪還を続けている。ロシア軍は侵攻開始から占領を続けた拠点から次々と撤退を余儀なくされている。ウクライナ政府は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が東部と南部の4州併合を一方的に宣言したのは、ロシア軍が各地で敗北しているからだと説明している。

ロシア軍が部分的に占領する4州の併合宣言は、国際社会で広く違法だと非難されている。同時に、開戦から7カ月になる戦争のエスカレーションにつながる可能性が懸念されている。プーチン大統領をはじめロシア政府幹部は、併合4州の防衛に小型の戦術兵器を含む核兵器を用いる可能性を示唆。ただし、西側各国の政府関係者は、ロシア政府にその用意があると示す証拠はないと話す。

ゼレンスキー大統領はBBCに対して英語で、「向こうは自分たちの社会に準備をさせ始めている。それはとても危険なことだ」と述べた。さらに、「まだそうする、(核兵器を)使う準備はできていないが、そういう内容のことを言い始めている。使うかどうかは(ロシアは)分かっていないが、そういう話をするだけでも危険だと思う」と付け加えた。

大統領は続いてウクライナ語で発言を続け、「ロシアの権力者は生きるのが好きだ。それは見てわかる。なので、一部の専門家が言うほど、核兵器使用のリスクは決定的だとは私は思わない。というのも、いったん(核兵器を)使えば後戻りできないことは、向こうも理解している。自分たちの国の歴史にとってだけでなく、自分たち個人にとっても」と述べた。

その一方でゼレンスキー氏は、6日のオンライン・イベントでロシアへの攻撃を自分が呼びかけたという事実はないと話した。自分が使ったウクライナ語の単語が誤解されたのだと説明した。

ロシア政府のドミトリー・ペスコフ報道官はこのイベントでのゼレンスキー氏の発言を、「世界大戦をまた始めようという呼びかけだった」と非難。ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相は、ロシアがウクライナで軍事作戦を開始したのは正しかったと立証する発言だと述べた。

「そうやって翻訳した後、(ロシア側は)自分たちに都合のいいように利用し始めて、ほかの方向に曲げて翻訳し直し始めた」とゼレンスキー氏は話した。

BBCのジョン・シンプソン世界情勢編集長によるインタビューは、アメリカのジョー・バイデン大統領がウクライナでの戦争をめぐり、核兵器による「アルマゲドン(最終戦争)」のリスクは1962年のキューバ危機以来最も高い水準にあると述べてから数時間後に行われた。

ゼレンスキー大統領はこれについて、ただちに行動が必要だと強調。ロシアによる脅威は「地球全体にとってのリスク」だと述べた。

さらにゼレンスキー氏は、ロシアが南部ザポリッジャの原子力発電所を制圧したことで、すでに「一歩を踏み出した」と指摘。ザポリッジャ原発は欧州最大規模の原発で、プーチン氏はロシアのものにしようとしている。

原発の稼働はウクライナ人職員が管理しているものの、施設内には約500人のロシア兵が駐留しているとゼレンスキー氏は述べた。

「世界はロシアを止められる。ただちにロシアの占領者の行動を阻止することができる」とゼレンスキー氏は強調し、国際社会が包括的制裁を発動し、「世界が全力を出せば、ロシアを原発から追い出すことができる」と主張した。

西側諸国から最先端兵器の提供を受けるウクライナは、東部や南部で重要な前進を続け、ロシアがもはやロシアの一部だと主張する地域でも町や村を奪還している。

これについてゼレンスキー氏は、ロシア軍は「十分しっかり戦っている」ものの、ウクライナは武器供与を受けているほか、ウクライナ兵には勝ち進まなくてはならないだけの動機があるのだと説明した。

西側からの武器供与については、「もう十分だなどとは言わない」とも付け加えた。

ロシア軍の敗退によってプーチン氏は面目を失っており、ロシア国内でも異例の軍批判が続いている。

敗退が続く中、プーチン氏は数十万人の予備役の動員を発表。それを機にロシア国内では珍しい反戦デモが起こり、招集対象年齢の男性がこぞって国外へ出国した。

ゼレンスキー大統領はロシア人に対して、「自分の体、自分の自由、自分の権利、自分の魂のために戦ってもらいたい」と政府への抵抗を呼びかけた。

「あの国の子供たちは何も与えられないまま、動員されている。機関銃も防弾ジャケットもなく、大砲のいけにえとして送り込まれている。ただの肉のかたまりで人間として扱われていない。ここへ来て焼かれたいなら、どうぞ来ればいい。しかし結局のところ自分は人間だと思うなら、これは自分の命がかかっていることだと思うなら、戦わなくては」

大統領はさらに、「プーチンが恐れているのは核攻撃ですらなく、自国のコミュニティー、自国民だ。なぜならここへきて彼を失脚させられるのは、ロシア国民だけだ」と述べ、「彼から権力を取り上げ、別の人間に渡すべきだ」と話した。

もしウクライナが勝ったなら、プーチン氏は生き残ると思うかと質問されると、ゼレンスキー氏はしばし考えた後、「どうでもいい」と答えた。

(英語記事 Ukraine war: World must act now to stop Russia nuclear threat – Zelensky)

(c) BBC News



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