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アメリカ東部のペンシルベニア州フィラデルフィア市で、韓国系団体が慰安婦像を設置した公園を計画している問題は、最終的な計画の是非を問う委員会での投票が現地時間の10月12日に迫っている。
【画像】計画されている公園の完成イメージ 中心部には慰安婦像が設置される
これに先立ち9月19日に開かれた市民などの声を聴く特別会合は、3時間以上にわたって行われ、激論が繰り広げられた。意見を述べた40人以上のうちの約8割に上る30人以上が、設置に反対の意見を述べた。一方、少数の推進派からは強力に設置を求める意見も挙がり、激しい対立が鮮明となった。
推進派は反対意見を「全面否定」
特別会合の冒頭では、計画を推進する韓国系団体が説明を行った。ナチスによるユダヤ人虐殺、アメリカによる広島・長崎への原爆投下を挙げつつ、「もう1つの残虐な行為がここ数十年で明るみに出てきた」として、「20万人以上の女性や少女が組織的な性的暴力の犠牲となり、奴隷にされ、慰安婦と呼ばれたことがようやく明るみに出てきた」と強調し、慰安婦像の設置の理由を説明した。また、反対派の主張は「嘘」だとして、投票の権限を持つ委員たちに意見を鵜呑みにしないようにも求めていた。慰安婦像の碑文に「日本帝国陸軍による組織的な性奴隷制」や「数十万人の少女と女性」という内容が刻まれることが物議を醸している点について、市の担当者からは「世界的な研究で裏付けされている」との回答があった。
慰安婦像が設置された地域でアジア人差別や子どもへのいじめが起きていることが指摘されている点についても、「司法省に問い合わせたが、事例の増加はない」と市の担当者は否定した。「和解」や「平和」を訴えるプロジェクトのはずが、会合の冒頭から反対派の主張を真っ向から否定し、歩み寄る気は一切ないとの姿勢を強く感じるものだった。
「特定の民族を攻撃」「この像でなければいけない理由ない」
一方で、市民からはこの計画への反対意見が続出した。
「この像は平和や人権とはほど遠いものである。反日感情をあおり、日本と日本人に対する憎悪と侮蔑の念を抱かせるためのものである」。フィラデルフィア日本人会の弁護士はこう語り、慰安婦像が設置された韓国・ソウルの日本大使館前での過激なデモ活動のようになるとの見方を示した。慰安婦像の設置は「特定の民族を攻撃の対象としている。地域社会の憎悪と分裂を増大させることにつながる」とも指摘した。
また、フィラデルフィア市が「日本を非難するつもりはない」と言っていることについては、「この像を公共の場に建てることは、市が韓国人グループの側に立っていることを強く示唆している」と批判した。さらに、市側が説明したアジア人差別やいじめなどを「司法省が否定した」とする点も、誰がどのように説明したか明確なものでもなく、正式な統計が存在していない点を追及した。
日本人会の弁護士は、「日本人蔑視や反日感情を煽ることではなく、すべての女性に対する普遍的なメッセージを送ることであるならば、このデザインの像でなければならない理由はない」と強調した。そして、大前提として「フィラデルフィア市と何ら関係がない」慰安婦像をなぜ作らなければならないのかという点も、繰り返し訴えていた。