韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の妻である金建希(キム・ゴンヒ)氏が13日午前、ソウル南部拘置所に収容されました。これは、元大統領夫人としては史上初めての拘置所入所となり、韓国社会に大きな衝撃を与えています。拘束令状が発付された後、金氏は一般収容室に入り、収容番号4398番が付与されました。この歴史的な事態は、韓国の政治と社会における法の公平性を改めて浮き彫りにしています。
拘置所入所の経緯と手続き
金建希氏は、12日午後にソウル中央地裁で行われた拘束前被疑者尋問(令状実質審査)に出席した後、ソウル南部拘置所の拘引被疑者待機室に留まっていました。そして、同日深夜に拘束令状が発付されたことを受け、13日未明に拘置所内の一般収容室へと移されました。
金建希氏、ソウル中央地裁での拘束前被疑者尋問を終え、裁判所を後にする
金建希特別検察官チーム(特別検察官、閔中基氏)が令状を拘置所側に伝達し、拘置所側は規定に基づき入所手続きを進めました。金氏は元大統領夫人という身分や拘置所内での事故防止への懸念から、約6.56平方メートル(1.9坪)規模の独房に収容されることになりました。入所時には、人的事項の確認、簡単な面談、精密身体検査が行われ、その後、女性未決囚用の薄緑色の囚衣を着用。収容者識別のための顔写真(マグショット)を撮影し、下着、タオル、歯ブラシ、食器などを受け取り、自身の独居室へと移動しました。
拘置所での生活環境と規則
金氏が使用する独房には、折り畳み式マットレス、毛布、物置台、テレビ、机兼テーブル、洗面台、便器などが備えられています。拘置所では、日曜日と公休日を除く毎日、1時間以内の運動が許可されています。入浴については共同浴場を利用することになりますが、他の収容者との利用時間が重ならないよう調整される予定です。
食事は、拘引被疑者居室収容者と同じメニューが提供され、1日3食、各食に3種類のおかずが出されます。この日の昼食には豚肉キムチチゲ、ギョーザ、エホバ炒め、チョンガキムチが提供されました。朝食は食パン、イチゴジャム、牛乳、ソーセージ、サラダ。夕食はナムル、目玉焼き、大根の葉キムチ、キュウリ冷汁が予定されていました。しかし、金氏が食事を拒否しているとの情報も伝えられています。
食事と面会、そして警護の中断
弁護士との面会は随時可能であり、これは被収容者の基本的な権利として保障されています。一方、拘束令状の発付に伴い、大統領警護処による金氏への警護・警備は全面的に中断されました。これは、拘束令状の執行により金氏の身柄が矯正当局に引き渡されたためです。現行の「元大統領優遇に関する法律」では、弾劾で罷免された元大統領の家族にも「必要な期間の警護および警備」の提供が可能とされていますが、尹前大統領夫妻が同時に拘束されたことで、こうした待遇を継続する必要がなくなったと判断されました。
今回の金建希氏の拘置所入所は、韓国の司法制度における重要な一歩として記憶されるでしょう。元大統領夫人という特別な地位にある人物が、一般の被疑者と同様のプロセスを経て収容されたことは、法の前の平等を示すものとして、国内外から注目されています。