ロシアのプーチン大統領が、「併合」したウクライナ東・南部4州への戒厳令に動いた。
―ロシアの戒厳令とは。
災害など「内的脅威」が生じた場合に出される非常事態令に対し、戒厳令は侵略など「外的脅威」を理由とし、軍が権限を握る。ロシア大統領が発出し、上院が承認する手続きだ。
―前線で苦戦中だ。
ロシア軍が占領する東・南部4州のうち、ヘルソン州の中心都市を10月中にもウクライナ軍が奪還する勢いだと報じられた。補給ルートのクリミア半島で橋が爆破されたのも痛手。併合した「ロシア領」を失うのは敗北を意味する。
―発令でどうなる。
対象地域で移動の自由がなくなる。軍は住民を強制退避させて本格的な戦闘に移行できるし、徴兵忌避も取り締まりやすくなる。何より「戦争」と印象付けて、国内を引き締める効果がある。
―戦争宣言なの。
あくまでも戦争ではなく「特別軍事作戦」との位置付けだ。ただ、戒厳令は外的脅威に対処する「本気度」を示す。国家存立の危機を理由とした核使用の可能性が「虚勢ではない」(プーチン氏)と威嚇する狙いもありそうだ。(時事)