ロシアのテレビ司会者クセニア・サプチャクさん=2018年3月、モスクワ(AFP時事)
ロシア当局は26日、プーチン大統領の大学時代の恩師の娘でテレビ司会者のクセニア・サプチャクさん(40)に対し、恐喝容疑で捜査に着手し、モスクワ郊外の自宅を捜索した。
【写真】ロシアのプーチン大統領
現地メディアが一斉に伝えた。ウクライナ侵攻で強まる報道規制の一環とみられる。サプチャクさんは直前に出国した。
サプチャクさんは、自身が創設した独立系メディアの幹部が先に拘束されており、通信アプリで「(容疑を)全く信じない」と反発した。当局は、国営防衛企業ロステクのチェメゾフ最高経営責任者が恐喝されたと主張している。
サプチャクさんは、父の故アナトリー・サプチャク元サンクトペテルブルク市長の招きで政界入りしたプーチン氏と、子供時代から交流。ジャーナリストとして大統領の内外記者会見で質問した際には、プーチン氏から愛称「クスーシャ」と呼び掛けられ、親しい関係をうかがわせていた。
一方で反体制派の顔も持ち、2018年の大統領選にプーチン氏の対立候補として出馬した。今回の捜査は、反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏に匹敵する政治弾圧の可能性もある。
サプチャクさんは隣国ベラルーシを経由し、欧州連合(EU)加盟国でバルト3国のリトアニアへ陸路で逃れたとされる。25日にアラブ首長国連邦(UAE)行き、26日にトルコ行きの航空券を相次いで購入しており、ロシア当局がモスクワの空港で警戒する中での周到な出国だった。