ロシアとウクライナの国旗=ゲッティ
英国防省は6日、ウクライナ東部戦線を担当していたロシア軍のラピン中央軍管区司令官が解任され、リンコフ少将が司令官代行に任命されたとの分析結果を明らかにした。ウクライナ軍による反転攻勢を受け、ロシアの私兵、雇い兵から正規軍のラピン氏の責任を問う声が出ていた。英国防省はロシア指導層への非難をそらすための試みである可能性があると指摘している。
ラピン氏は7月、東部ルガンスク州の攻略で指揮を執り、一時は戦果をたたえられたが、9月以降のウクライナ軍による反撃で劣勢に立たされた。
ロシア軍の軍事目標を達成できないラピン氏に対し、ウクライナ戦線に私兵部隊を送っている南部チェチェン共和国のカディロフ首長が10月、「私ならば、ラピンを一兵卒に降格させて、恥を拭わせるためにライフルを与えて最前線に送り出す」と通信アプリに投稿するなど、私兵、雇い兵の不満が高まっていた。
ロシア軍ではこれまでに、ウクライナ東部戦線の指揮を担っていたジュラブリョフ西部軍管区司令官、補給作戦を担当していたブルガコフ国防次官が解任されたと報じられている。
一方、ロイター通信によると、ロシア軍が一方的に併合を宣言したウクライナ南部ヘルソン州の当局担当者は6日、ヘルソン市を含む同州の多数の地域で一時的に水道や電力の供給が停止したと述べた。当局者は「テロリストによる攻撃」で送電線が損傷したとしているが、真偽は不明。【ブリュッセル宮川裕章】