撃墜されたマレーシア航空機のジェットエンジンに供えられた野の花=ウクライナ東部ドネツク州グラボボ村で2014年7月19日午前、真野森作撮影
ウクライナ東部で2014年7月にマレーシア航空機が撃墜された事件の公判で、オランダの裁判所は17日、殺人罪などに問われた親ロシア派勢力元幹部で露軍元大佐のイーゴリ・ギルキン(別名イーゴリ・ストレルコフ)被告ら、ロシア、ウクライナ国籍の4人のうち3人に求刑通り終身刑を言い渡した。1人は無罪とした。ロシア側は引き渡しに応じず、被告不在のまま公判が続いていた。
アムステルダムからマレーシアのクアラルンプールへ向かっていた旅客機は、ウクライナ東部の親露派勢力が実効支配する地域の上空で撃ち落とされ、乗員乗客全298人が死亡した。犠牲者が最も多かったオランダの検察が5カ国による合同捜査を主導し、衛星画像や傍受した通信記録などから撃墜に使われたロシア軍の地対空ミサイル「ブク」の輸送や配備などにかかわったとして4人を起訴した。
ギルキン被告は14年に一方的に独立を宣言したウクライナの親露派「ドネツク人民共和国」の「国防相」を務めていた。その他、有罪判決を受けたのは、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の元幹部、セルゲイ・ドゥビンスキー▽ウクライナ国籍で親露派の現場指揮官、レオニード・ハルチェンコの2被告。元GRUのオレグ・プラトフ被告は主導的な役割が認められないとして無罪を言い渡された。ロシア側は事件当初から関与を否定し続けている。【八田浩輔】