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ロシアのウクライナ侵攻からおよそ9カ月。ヘルソン州の州都をウクライナが奪還した。ゼレンスキー大統領が、市の中心部に入り住民から歓喜の声で迎えられた。しかし喜びだけではない。ゼレンスキー大統領は「長く困難な道のりが待ち受けている」と全土の解放を目指す決意と、まだロシア軍への脅威が消えていないことを口にした。果たしてヘルソンの今後、そして全土の奪還は叶うのはできるのだろうか。
ヘルソンの兵士、ウクライナ軍の南部防衛司令部の大佐、そして英国王立防衛安全保障研究所RUSIの研究員に戦況を聞いた。
【写真を見る】「民間人の服に着替えた敵を発見する」ヘルソン奪還…歓喜する住民の横で起きていること【報道1930】
■「民間人の服に着替えた敵を発見できるように…」
今月12日、街の中央広場に住民たちの歓喜の輪ができていた。その中心にはウクライナ軍の空中偵察部隊兵士マジャル氏。我々が彼と接触したのは2か月前。その時には、詳しい場所は言えないが、ヘルソン市からまだはるかに遠い塹壕の中だった。
しかし、いま、彼はヘルソン市の中心部にいて、ドニプロ川を背負っていた。その手にはなぜかスイカ。ヘルソンはスイカの名産地で、解放のため街に入った時に住民からプレゼントされたものなのだという。
ウクライナ軍空中偵察部隊 マジャル氏
「どのくらい保管できるか分からないがいずれは切って食べますよ。敵はドニプロ川の向こう岸に撤退しました。ここ数日で東岸では140以上の市町村が解放されました」
ウクライナ軍の攻勢は確かにあった。しかし、ロシア軍は逃げ去ったというよりは、作戦としてヘルソン市を解放“させた”という見方もできる。
ウクライナ軍空中偵察部隊 マジャル氏
「私たちとて気の間にウクライナ最大の川であるドニプロ川がありますがすべての橋が破壊され川を渡ることができません。向こう岸では敵は良質な防衛体制と攻撃態勢を構築したのでそれを使って攻撃してくると思う。一時的に住民には安全な場所に移動するように伝えています」
ロシア軍の反撃を心配するマジャル氏。しかし問題は外からの攻撃だけではないという。
ウクライナ軍空中偵察部隊 マジャル氏
「ヘルソン市に残って紛れている敵を発見しないといけません。民間人の服に着替えた敵を発見できるように検問所の態勢を強化しました。ウクライナ軍や住民を狙った攻撃を行う予定の破壊工作員がいる可能性があるのです。」
ウクライナの進撃の理由にパルチザンとして、ロシア軍の情報をウクライナ軍に伝えたり、破壊活動に協力したりするパルチザンの存在があったことが伝えられているが、今度はその住民になりすました“逆パルチザン”にウクライナは気を配らなければならない。