Brittany Chang/Insider
本記事は、2022年8月23日に掲載した記事の再掲です。
アメリカのニュージャージー州アヴェネルにあったKマートが4月16日に閉店した。
【全画像をみる】写真で見る、閉店3日前のKマートに行ってみた… かつては2000店舗以上あった人気店も残り3店舗に
これでKマートは残り3店舗になった。ニューヨーク州、ニュージャージー州、フロリダ州にそれぞれ1店舗ずつ残っている。
ここ数年、Kマートの売り上げと店舗数は減り続けていた。
4月16日、ニュージャージー州アヴェネルにあったKマートが閉店した。これでKマートはアメリカ全体で残り3店舗になったと、AP通信が報じた。
Source:
AP News
かつてはアメリカの定番ブランドだったKマートはここ数年、さまざまな逆風にさらされてきた。
かつての親会社シアーズ・ホールディングス(Sears Holdings)は2018年に経営破綻した。
そして、ターゲット(Target)やウォルマート(Walmart)といった競合大手やeコマースが市場を独占する中、Kマートの売り上げは落ち続けた。
Source:
Insider
利益と同時に店舗数も減っていった。
Kマートはアメリカ有数の大手ディスカウントストアだった。しかし、ここ約20年で2000以上あった店舗数は…
4月16日の時点で、東海岸沿いにわずか3店舗まで減った。
筆者は閉店の3日前にニュージャージー州アヴェネルのKマートを訪れた。そこにはかつての広々とした活気あふれる店の抜け殻のような姿があった。
ニューヨーク市から車で1時間ほどの場所にあるこの店舗は、どんな大規模百貨店よりも大きかった。
ただ、筆者を迎えてくれたのはさまざまな商品であふれる、華やかな通路ではなく…
店内は何者かに荒されたかのような状態だった。
それでも壁の赤い「K」の文字や長い陳列棚の置かれた通路などが、かつての栄光を思い起こさせた。
スピーカーからは音楽や新型コロナウイルス対策のお知らせがまだ流れていた。
5月の母の日のカードも売り場に並んでいた。
しかし、その黄金時代はすでに過去のものだ。
店の中と外には閉店が近付いていることを知らせるボードが掲げられていて、大幅な値下げで客を引き付けようとしている。
普段通りだったのは、陳列棚を整頓する従業員の姿くらいだ。
空っぽに近い店の背筋が寒くなるような感覚を克服するには、これだけでは足りない。
店の最盛期を思い起こさせる頭上の明るい照明は、ほとんど空っぽになった陳列棚を強調するかのようだった。
売り場の大半はすでに片付けられていて、立ち入り禁止のテープが張られていた。
テープが張られていない売り場では、商品が乱雑に置かれているところが多かった。
ただ、品揃えは少なくてもセール品を求めて店を訪れる客は多かった。服や…
定番の調味料や缶詰…
子どものおもちゃ…
古くなった現金自動預払機やプリンターなども売られていた。
かつては売り物の服がたくさんかけられていたラックまで販売されていた。
その一方で、従業員はまるで閉店が目前に迫っていないかのように店を清掃し、乱れた陳列棚を整えていた。
店内には客や従業員がいて、商品も残っているにもかかわらず、Kマートはがらんとしていた。
かつて多くの客と豊富な品揃えでにぎわっていたこの店に残されているのは、わずかばかりの商品と染みの付いた床、空っぽの陳列棚…
そして、”小売業の崩壊”の長期的な影響だけだ。
アメリカ各地にあった「Kマート」という懐かしのブランドは、今やニュージャージー州ウェストウッド、ニューヨーク州ブリッジハンプトン、フロリダ州マイアミの3店舗しか残っていない。
Source: CBS News
現在、Kマートを運営しているトランスフォームコ(Transformco)にInsiderはコメントを求めたが、回答は得られなかった。
[原文:I went inside one of the last 4 Kmart stores in the US days before it closed down forever and found a nearly empty relic of a past shopping era]
(翻訳、編集・山口佳美)
Brittany Chang