カタールが欧州議会関係者に金品を提供し、意思決定に影響を及ぼしていたとの疑惑発覚を受け、欧州連合(EU)外相らは12日、EUの信頼性が危機に瀕していると警告した。写真は12月7日、欧州議会の会合に参加する欧州議会副議長のエヴァ・カイリ氏(2022年 ロイター/ EP/Handout via REUTERS)
[ブリュッセル 12日 ロイター] – カタールが欧州議会関係者に金品を提供し、意思決定に影響を及ぼしていたとの疑惑発覚を受け、欧州連合(EU)外相らは12日、EUの信頼性が危機に瀕していると警告した。
関係筋によると、ギリシャは12日、週末にベルギーで逮捕・起訴された4人のうちの1人である欧州議会副議長のエヴァ・カイリ氏の資産を凍結した。
この件に関して、カイリ氏の事務所はロイターのコメントの要請に応じていない。カタールはいかなる不正行為も否定している。
ベルギー検察当局は9日、ブリュッセルで16カ所を捜索し、現金60万ユーロ(63万1800ドル)を押収。11日に声明で、4人の容疑者を「犯罪組織への参加、マネーロンダリング、汚職」の罪で起訴したと発表した。
検察当局は4人の氏名は明らかにしなかったが、欧州議会は週末、カイリ副議長の職務を停止したと発表。ギリシャの全ギリシャ社会主義運動(PASOK)はカイリ氏を党から除名すると明らかにした。
関係筋によると、他の3人は欧州議会元議員のピエール・アントニオ・パンツェリ氏、国際労働組合総連合(ITUC)のルカ・ビセンティーニ書記長、カイリのパートナーのフランチェスコ・ジョルジ氏。いずれもイタリア国籍という。
ロイターはベルギーのそれぞれの事務所や自宅に電話や電子メールで取材を試みたが、返答は得られていない。
ドイツのベーアボック外相は「欧州の信頼性に関わる」事件とし、「法の力を尽くして完全に解明する必要がある」と述べた。
ベルギー検察当局は、湾岸地域のある国が欧州で影響力を得るために金品を提供しているのではないかと数カ月前から疑っていた。関係筋はその国はカタールだとしているが、カタール政府関係者は週末「カタール政府と報道された主張との関連は、根拠がなく、重大な誤報だ」として、疑惑を否定した。
カタールは現在、サッカー・ワールドカップ(W杯)を開催中。同国が移民労働者の扱いを含む人権問題で非難される中、当局の捜査が行われた。