ポーランド首相、欧州は不足する155mm砲弾を韓国から購入すべきだ

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ポーランドのモラヴィエツキ首相は「欧州に弾薬がないのは公然の秘密で、十分な量の弾薬を欧州で調達できないのなら域外から調達すべきだ」と訴え、K2やK9の迅速な調達に対応してくれた韓国からの調達を強く押している。

現在の状況はEPFの資金でEU域外から調達するしか解決策がなく、ポーランドは域外調達に反対するフランスを説得するつもり

米国はウクライナに155mm砲弾を累計150万発以上(月平均11万発以上)も提供してきたが、レズニコフ国防相は「前線で戦闘任務を成功させるためには最低でも月36.6万発が必要になる」と訴え、欧州に155mm砲弾を月25万発の供給するよう要求、これに対応するためEUは20日「今後12ヶ月間で155mm砲弾100万発の供給に関する政治的合意」を発表した。

ポーランド首相、欧州は不足する155mm砲弾を韓国から購入すべきだ

出典:U.S. Army photo by Sgt. Victor Everhart, Jr.

この合意が「歴史的だ」と呼ばれる理由は「砲弾を生産して供給する」のではなく「自国の安全保障に必要と理由で拒否してきた備蓄分解放に同意した=EU加盟国の備蓄分から供給される」という点で、EUは「加盟国がウクライナに提供する砲弾への補償=10億ユーロ」「備蓄分の砲弾を埋め戻す共同購入への資金供給=10億ユーロ」「砲弾生産を強化するための取り組み」を実施することを前回の記事で紹介したが、今回は政治的合意の「裏の部分」を見ていくことにする。

19のEU加盟国とノルウェーが合意した取り組みに必要な資金=計20億ユーロはEUの欧州平和ファシリティ(EPF)から拠出されるため、フランスは「EPFの資金をEU域外からの調達に使用することは絶対に不可能=共同購入先は欧州企業でなければならないという意味」と主張しており、EPFの資金は国民総所得に応じて加盟国が負担しているためフランスの主張は正論といえるだろう。

ポーランド首相、欧州は不足する155mm砲弾を韓国から購入すべきだ

出典:U.S. Army Photo by Dori Whipple, Joint Munitions Command

ただ欧州企業が1年間で供給できる155mm砲弾の数は30万発前後なので「加盟国の備蓄分埋戻し=砲弾100万発の補充」には3年以上かかるのが現実で、ドイツのHandelsblatt紙や英国のFinancial Times紙は「増産に資金が割り当てられても砲弾供給量が実際に増えるまで3年かかる」と指摘、簡単に言うと砲弾工場の新設自体は簡単だが火薬の供給量が圧倒的に不足しているため、この部分から増産体制を構築していくには時間がかかり、欧州企業も需要の持続性が不透明な砲弾製造に対する設備投資には消極的だ。

さらに付け加えれば「ウクライナが2024年に再び砲弾供給を要請すると欧州には吐き出せるものがない」という状況に陥るため、合意に参加したポーランドのモラヴィエツキ首相は「とにかくスピードが重要で欧州内で十分な量の弾薬が無いのなら域外から調達すべきだ」と述べ、特にK2やK9の迅速な調達に対応してくれた韓国からの調達を強く押している。

ポーランド首相、欧州は不足する155mm砲弾を韓国から購入すべきだ

出典:President of Ukraine

韓国から155mm砲弾を輸入するのも、輸入した砲弾をウクライナに再輸出(最終使用者の変更)するのも尹政権の承認が必要で、モラヴィエツキ首相は「韓国側の合意を取り付けることから始めなければならず、ポーランドと韓国は信頼できるパートナーなので合意がないまま強行するつもりはない。しかし欧州に弾薬がないのは公然の秘密で、十分な量の弾薬を欧州で調達できないのなら域外から調達すべきだ。韓国やイスラエルはこの種の弾薬を沢山もっている」と主張。

ポーランドを含むEU主要国との協議が迅速な弾薬調達に繋がることを期待していると述べた上で「現在の状況はEPFの資金でEU域外から調達するしか解決策がなく、私はフランスを説得するつもりだ」と付け加えているのが興味深い。

ポーランド首相、欧州は不足する155mm砲弾を韓国から購入すべきだ

出典:U.S. Army Photo By Pfc. Dasol Choi K9サンダー

韓国は西側陣営最大の砲兵戦力(155mm規格の榴弾砲や自走砲を3,000門以上)を保有しているので韓国軍備蓄には米軍備蓄を超える量の155mm砲弾が眠っている可能性があり、さらに韓国政府は冷戦終結後も「テロとの戦い」ではなく「伝統的な対称戦」に資金を投資し続けたため、重装備や弾薬を大量生産するための強固な生産基盤が維持されている。

欧米の砲弾生産量がウクライナの要求水準に到達するのは2025年からなので、増産が軌道に乗るまでのギャップを埋めるには韓国の協力が必要不可欠なのかもしれない。

ポーランド首相、欧州は不足する155mm砲弾を韓国から購入すべきだ

出典:Денис Шмигаль Прем‘єр-міністр України

因みにモラヴィエツキ首相は「EUに20億ユーロの払い戻しを請求(ウクライナに提供した装備や弾薬の補償/20億ユーロにレオパルド2A4の補償分は含まれおらず今後請求する予定)している。この資金を軍の近代化に役立てるつもりで、155mm砲弾の共同調達先にもポーランド企業を食い込ませたい」と述べており、結果論で言えばロシアのウクライナ侵攻はポーランド軍の近代化を資金調達面で手助けしたことになる。

余談:メディアに頼らないポーランド政府の情報発信能力は非常に高く、政府系のWebサイト(管理人が観察するのは大統領、首相、国防省だけだが、、、)のデザインも情報量も圧倒的で、動画や写真を交えたプレスリリースのクオリティーはメディアに引けを取らない。

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※アイキャッチ画像の出典:Serwis Rzeczypospolitej Polskiej

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