日本は追加でKC-46Aを9機取得、空自の導入数は計15機になる見込み

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日本政府は2013年に空中給油機の増勢を決定、米空軍が調達中のKC-46Aを2024年までに計6機取得する予定だが、防衛装備庁は先月31日に公開した「取得プログラムの分析及び評価の概要」の中でKC-46Aをあと9機取得する」と明かした。

恐らくRVS2.0はRVS1.0の問題点を克服している可能性が高く、順調に開発作業が進めばKC-46Aの継続調達も

これまでKC-46Aの不具合や問題解消に向けた動きを何度か取り上げてきたが、この問題についてポジティブな情報(恐らく初めてかもしれない)があり、同機の空中給油能力を制限しているリモートビジョンシステム(RVS1.0)の新規設計バージョン=RVS2.0について米ディフェンスメディアは「RVS1.0と比べてRVS2.0の映像は給油対象機やブームがはっきり見える」と報じている。

日本は追加でKC-46Aを9機取得、空自の導入数は計15機になる見込み

出典:U.S. Air Force photo/Airman 1st Class Colby L. Hardin 3Dメガネを装着してRVSを操作する様子

KC-10やKC-135のオペレーターは給油対象機の位置を直接確認してブームの操作を行うのだが、KC-46AのオペレーターはRVS1.0のカメラ映像やセンサー情報に基いてブームの操作を行うため、目視よりも正確なブーム操作が可能になる=給油作業の正確さ効率が向上すると期待されていたものの、実際のRVS1.0は光の加減で映像が見にくくなったり映像自体にも歪みが発生、ブームを給油対象機に擦り付ける=損傷させる危険性があり、このリスクをRVS1.0から根本的に取り除くのは不可能という結論に行き着く。

米空軍とボーイングはRVS1.0の修正バージョンを開発しながら「新規設計バージョン=RVS2.0」の開発で合意、修正バージョンのお陰でKC-46Aの給油制限は段階的に緩和されたものの「実戦におけるステルス機(B-2、F-22、F-35A)への空中給油」を米輸送軍司令部は解禁しておらず、これはRVS2.0が実装されまで「維持する」というのが現状だ。

日本は追加でKC-46Aを9機取得、空自の導入数は計15機になる見込み

出典:U.S. Air Force photo by Chustine Minoda

RVS2.0は「2024年3月」に設定されたリリーススケジュールを守るため予備設計の審査を再び簡略化=RVS1.0の不具合を見逃した開発プロセスと同じ方法を採用、米政府説明責任局は「再び同じ失敗を繰り返そうとしている」と警告しているが、米空軍とボーイングは「予備設計で要求されている完全なプロトタイプによる入念な検証は現実的ではない」と主張して開発続行、2022年4月に「予備設計審査を終了した」と発表した。

米空軍とボーイングがRVS2.0のリリースを急いでいるのは非常にシンプルな話で、KC-46Aの不具合を問題視した議会は179機目以降の調達=KC-Z(次期空中給油機/2030年頃に登場予定)までの継続調達に否定、KC-46AとKC-Zのギャップを埋めるブリッジタンカー(KC-Y)を新たに選定しろと要求、これを受けて米空軍は「2024年頃にKC-Yの選定を行う」と発表しているため、継続調達を望む空軍にとってRVS2.0の2024年完成は絶対であり、これに失敗すればLMXTの採用を拒否できなくなる。

日本は追加でKC-46Aを9機取得、空自の導入数は計15機になる見込み

出典:Lockheed Martin LMXT

ただサプライチェーンの問題でRVS2.0のリリースは「19ヶ月遅れる=2024年3月から2025年10月に変更」すると発表しており、KC-46Aの継続調達はギリギリのラインに追い込まれているのだが、ボーイングはアーリントにある本社を訪問したディフェンスメディアの記者にRVS2.0の映像を見せ「RVS1.0からどれほど進歩しているか」をアピール、RVS2.0とRVS1.0の比較映像を見た記者は「違いは明らかで給油対象機やブームがはっきり見える」と書いているのが興味深い。

恐らくRVS2.0はRVS1.0の問題点を克服している可能性が高く、このまま順調に開発作業が進めばKC-46Aの継続調達を議会に認めさせることが出来るかもしれないが、RVS2.0は自動空中給油システムなど検証されていない未成就な新技術も含まれているため「ハラハラする綱渡り状態」が2025年まで続くことになる。

日本は追加でKC-46Aを9機取得、空自の導入数は計15機になる見込み

出典:public domain 豪空軍のA330MRTTから給油を受ける米空軍のF-35A

ロッキード・マーティンが提案してくるLMXTはA330MRTTの派生型で、エアバスはフライングブーム方式の自動空中給油システム「A3R」の開発と実機を用いたテストを終えており、スペインが昨年7月にA3Rを実装したA330MRTTを正式な空中給油機として認定、さらにA3Rを無人機の空中給油に対応させるため自律的な空中給油システム「A4R」や自律的編隊飛行システム「AF2」の開発を進めており、先月末に実証に成功したばかりだ。

欧州防衛機関(欧州防衛庁/EDA)はA330MRTT向けに「プローブ&ドローグ方式の自動空中給油システムの開発を開始する」とも発表、KC-46Aは映像やセンサーを通じた手動給油の実用化に手間取っているが、競合のA330MRTTは有人機や無人機に対する自動空中給油技術で大きくリードしており、手堅くRVS2.0を完成させるだけは「LMXT採用を迫る議会を納得させられない」と考えているのかもしれない。

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どちらにしても日本は空中給油機を競争入札で選定する考えはないので「RVS2.0」の完成と、KC-46Aの継続調達=生産ラインが閉鎖されないことを祈るだけだ。

また約束を破ったボーイング、KC-46Aの不具合解消は19ヶ月遅れる
空中給油技術で先行するエアバス、今度はプローブ&ドローグ方式の自動化
防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Joshua J. Seybert

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