渡辺明名人(右)と藤井聡太六冠(日本将棋連盟提供)
将棋の渡辺明名人(39)に藤井聡太六冠(20)=竜王、王位、叡王、棋王、王将、棋聖=が挑戦している第81期名人戦七番勝負第4局が22日、福岡県飯塚市の「麻生大浦荘」で前日から指し継がれ、先手の藤井が69手で勝利した。シリーズは藤井の3勝1敗となり、羽生善治九段以来、史上2人目、最年少での七冠達成、そして40年ぶりの史上最年少名人記録更新へ王手をかけた。
【写真】名人戦第4局2日目の勝負めし「鯛茶漬け」
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本局は渡辺名人が後手番ながら動いていく積極的な将棋なのですが、そうすると単調になりやすく、最後に粘りが利かなかったのかなと思います。うまく指されるとだめになってしまう将棋で、藤井竜王はそういう「うまく指せば」という展開をかなり得意にしている。藤井竜王の良さが出やすいのかなと見ていました。
また、全体的に左側、藤井竜王からすると王様の周辺で戦う展開になったのですが、藤井竜王はこのような戦い方を得意にしている。一手一手丁寧に指して、後手の攻めに的確に対応したという感じでした。
渡辺名人としては「うまく指されたらしょうがない」という戦い方で、作戦の性質上、本局のような展開は仕方ない。ただ、藤井竜王がそういう展開でミスをするのは自分は想像がつかないし、見たことがないという印象です。
本局も含め、渡辺名人は今シリーズで雁木を指している。それが藤井対策として有効だと見ていると思います。これで結果が出れば、今後藤井対策としては雁木が流行するかもしれない。渡辺名人は勝負の嗅覚が優れていると言われますので、どうなるのか私も注目して見ています。(永瀬拓矢王座)
報知新聞社