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インタビューに答える政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長=5月1日、東京都千代田区【時事通信社】
新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザと同じ5類に見直され、3年余りに及ぶ「コロナ禍」が転機を迎えた。政府と感染症専門家の間で調整役を担いつつ、情報発信を続けたのが尾身茂・政府コロナ対策分科会長だ。感染流行は続くのか。政府と専門家に溝はあったのか。危機下で望ましい政治家の姿とは。5類引き下げを控えた5月初め、尾身氏に「失敗の本質」と「次への備え」を聞いた。(時事通信政治部 纐纈啓太)
【図解】新型コロナ流行の波と主な出来事
完全にガードを下げるのは早い
―現在の感染状況と、求められる対策は。
5類になるからといって感染がゼロになるわけではない。今は第8波が下げ止まり、感染が少しずつ増えている地域もある。人の動きは活発になっている。ただ、どれだけ感染者が増えるか、感染の「波」の高さが第8波と比べてどうなるかはまだ分からない。
新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」に移行した5月8日、大勢の観光客らでにぎわう浅草の仲見世通り=東京都台東区【時事通信社】
―既に国民の行動も変わり始めている。
感染者数はある程度増えるだろう。5類にして社会経済を動かすということは、ある程度、社会が感染を許容するということだ。
致死率は低くなっている。特に若い人たちはワクチン接種やウイルスの変化で感染してもほとんど症状が軽い。しかし第1波から第8波まで、死亡者数を見るとほぼ着実に増えている。
世の中には致死率が低くなっているので「普通の病気」になったと捉えている人も多い。確かに致死率は低くなっているが、インフルエンザと比べれば感染性が極めて強く、死者数もはるかに多い。ウイルスの変異も続いている。少しずつ近づいてはいるが、完全に「普通の病気」にはなっていない。
英国と比較すると分かりやすいかもしれない。英国はパンデミック(世界的大流行)前半に相当の医療崩壊が起き、かなりの人が亡くなった。だから日本よりも自然感染している人が圧倒的に多く、ある意味で先進事例を示している。その英国では、死亡者、入院患者数の振れ幅が少なくなっている。
―感染者数などが中位「安定」しているということか。
中位か低位かは何とも言えないが、パンデミックから「エンデミック」(感染症が地域に定着した状態)に変わりつつあるのではないか、と専門家は考えている。
日本はどうか。第8波までは間違いなく死亡者は増えている。英国のようなパターンにはなっていない。だから次に来る「第9波」がどうなるかは非常に重要だ。
もう少し感染症学的な観点から言うと、致死率は下がっているが、感染力が強い。だから死亡者が多いのが1点目。
2点目は、日本は超高齢化社会で、特に食事を飲み込む機能などに障害があり、サポートが必要な人たちに感染すると重症化して亡くなるリスクが高まる。
3点目は、普通の病気はある程度、季節性のパターンがある。新型コロナは全く予想できない。変異がどういう方向に行くかも分からない。インフルエンザなどは予想が付きやすい。この辺りが違う。
安価な薬が手に入りにくい点でも普通の風邪だとは完全に言い切れない。
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