韓国国旗
東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を巡り、現地視察を終えた韓国政府の視察団は25日、東京で日本政府や東電の担当者と視察を総括する会合を開いた。26日に帰国する。韓国内では処理水放出に反対する声が強いが、日韓関係を重視する尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は、国際原子力機関(IAEA)が6月末にも公表する安全性に関する検証結果を尊重する立場を示している。
【写真】福島第1原発を視察後、取材に応じる劉視察団長
視察団団長の劉国熙(ユ・グッキ)韓国原子力安全委員長は25日の会合後、視察内容に関して「早期にまとめて説明したい」と記者団に述べた。24日の視察終了後には「見たかった施設は全て見た」と日本側の協力を評価した。追加の資料も日本側に要請中としており、視察団としての最終評価を示すには時間を要する可能性もある。
日本政府側は25日の会合後、「視察は安全性について理解を深めてもらう目的であり、韓国側と今後もコミュニケーションをとっていきたい」と説明した。
韓国内では野党が処理水放出を追認するためのものだとして視察を非難しているが、金大棋(キム・デギ)大統領秘書室長は24日、国会でIAEAや今回の視察の分析結果を踏まえて政府の判断を示すとした。IAEAの信頼性を疑問視する野党議員に対しては「IAEAを信じられないなら世の中に信じられるものはない」と反論。韓国など各国の専門家が加わるIAEAの検証を支持する立場を鮮明にした。
放射性物質が流出した第1原発事故から10年以上経過し、韓国の近海90カ所を調査したが、問題が見つかっていない点も強調した。
一方、韓国が続けている福島など8県産の水産物の輸入禁止の解除を巡っては「別問題だ」と答弁。朴振(パク・チン)外相も「国民の不安が解消されない限りは輸入できない」との見解を改めて示した。(ソウル 桜井紀雄)