ガマンして40年…もう限界、トイレ撤去 住職が声上げたマナー問題

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ガマンして40年…もう限界、トイレ撤去 住職が声上げたマナー問題

閉鎖されたトイレ=鷲林寺提供

【写真】【写真】トイレの閉鎖を知らせる貼り紙=鷲林寺提供

 「残念ながら鷲林(じゅうりん)寺境内の公衆トイレは撤去することになり工事に入りました」「数十年悩み続けた結果です」

 昨年11月。藤原栄善(えいぜん)住職(63)はツイッターにこう投稿した。

 標高320メートル付近にあり、紅葉の名所として知られる鷲林寺は、六甲山のハイキングコースの通り道にもなっている。多くのハイカーが、境内にある檀家(だんか)用のトイレを使ってきた。

 トイレが設置されたのは40年ほど前。当時は和式で、「9割以上はハイカーが使い、一部の利用者はトイレを汚したまま。トイレットペーパーの盗難も相次いでいた」と藤原住職は振り返る。

■洋式に変えたけど…

 その状況に心を痛めていた檀家の高齢女性が「きれいなトイレに変えれば、汚されないのではないか」と高額の寄付を申し出た。

 2007年に洋式トイレに一新。10年度には西宮市の都市景観賞を受賞した。受賞理由には「参拝者だけでなく、ハイカーなど一般の人々にも利用できるように配慮されている」などと記された。

 しかし利用者のマナー問題は続き、蛇口が工具で壊されたことも。SNSには「トイレが汚い」という声が投稿された。

 藤原住職は「約40年間にわたって一部の利用者のマナーが改善されず、苦渋の決断だがトイレを撤去したい」と檀家らと話し合い、昨年11月に閉鎖を決めた。

 寺は以前、市に「寄贈するので公衆トイレとして管理できないか」と提案したこともあったが、実現しなかったという。市は取材に「寺からご意見は聞いたが、正式に市に依頼されたとは認識していない。急なトイレの撤去という展開だったので驚いた」と回答した。

 寺によると、撤去された後も「トイレはありませんか」と訪れるハイカーは後を絶たないという。

■「マナー考えるきっかけに」

 背景には、ハイキングコースの周辺に公衆トイレや公共施設が少ないことも影響しているとみられる。

 市によると、ハイキング向けに市が設置している公衆トイレは市内に1カ所だけという。市幹部は「トイレがあったほうがいいと思われる場所は他にもあると思います」と話す。

 登山やハイキングの愛好者ら約2千人が加入する兵庫県勤労者山岳連盟の門脇道成理事長(75)=西宮市=は「大部分のハイカーは汚していないと思うが、一部にそうでない人がいることは非常に残念でたまらない」と肩を落とす。

 ハイカーは登山口でトイレを済ますのが原則だといい、「でも生理現象なので急に必要になるときもある。今回の事例を会員たちに報告して、トイレのマナー向上について呼びかけていきたい」と話す。

 門脇さんによると、六甲山は都心から近いため、ハイキングに不慣れな観光目当ての人も多いという。こうした事情もマナーが保たれにくい一因になっている可能性がある。

 藤原住職は「トイレのマナーはコンビニなどにも共通する社会問題になっているのではないか」と指摘。トイレの撤去で「一部の方が行動を改めたり、トイレの利用や管理について考えたりするきっかけにしてもらえたら」と訴えている。(森直由)

朝日新聞社

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