ドイツ国旗
ドイツのピストリウス国防相は3日、中国が人民解放軍のパイロットを訓練する教官として独連邦軍の退役将校を採用するのを止めるよう求めたと明らかにした。シンガポールでのアジア安全保障会議(シャングリラ対話)に合わせて中国の李尚福国防相と会談後、独公共放送ZDFに語った。
【写真】ドイツのピストリウス国防相
独シュピーゲル誌(電子版)は2日、連邦軍の戦闘機パイロットだった退役将校数人が中国で教官を務めていると報じていた。ピストリウス氏はZDFに「即刻止めてほしいと(中国に)伝えた」と述べた。李氏は反論せず、中国側の見解を語ったという。
中国が西側の退役軍人に高額の報酬を示し、教官にスカウトしている疑惑は昨年来、各国で表面化している。軍事情報の漏洩(ろうえい)など安全保障上のリスクを招きかねないとして、英国やオーストラリアは法的措置をとる構えを示している。
一方、ピストリウス氏は4日、シャングリラ対話で演説し、独連邦軍のフリゲート艦と補給艦を2024年にインド太平洋に派遣する計画を明らかにした。ルールに基づく国際秩序を守る姿勢を示すのが狙い。
同氏は「地中海であれ、南シナ海であれ(重要性は)同じ」と述べ、インド太平洋の安全保障は欧州にも直結すると強調した。
ドイツは21年にも、インド太平洋にフリゲート艦を派遣した。(パリ 三井美奈)